以下、論文紹介と解説です。

Wärnberg Gerdin S, Lie A, Asarnoj A, Borres MP, Lødrup Carlsen KC, Färdig M, et al. Impaired skin barrier and allergic sensitization in early infancy. Allergy 2022; 77:1464-76.

ノルウェーとスウェーデンで実施されたPreventADALL試験に参加した乳児1,994人を対象に、頬部および/または伸側部の湿疹やドライスキン、TEWLが上位4分の1(>9.4 g/m2/h)と定義した皮膚バリア機能低下、さらに830人から得られたIgE抗体価により生後6ヶ月での感作リスクを評価した。

背景

■ 生後6ヶ月のアレルギー感作を予測する因子は十分に理解されていない。

■ そこで、生後3ヶ月の湿疹、ドライスキン、経表皮水分蒸散量(TEWL)が生後6ヶ月のアレルゲン感作と関連するかどうかを調べ、次に、これらの特徴が生後3ヶ月から6ヶ月の感作を予測するかどうかを確立することを目的とした。

 

方法

■ 生後3か月に、ノルウェーとスウェーデンの人口ベースのPreventADALL出生コホートの乳児1,994人を対象に、頬部および/または伸側部の湿疹やドライスキン、TEWLが上位4分の1(>9.4 g/m2/h)と定義した皮膚バリア機能低下、さらに830人から得られたアレルゲン特異的IgE抗体価<0.1 kUA/Lの評価を実施した。

■ 6ヵ月後、食物アレルゲン(卵、牛乳、ピーナッツ、小麦、大豆)もしくは吸入アレルゲン(カバノキ、チモシー、犬、猫)に対するアレルゲン感作を、皮膚プリックテストによる膨疹径が陰性対照より2mm以上大きいかどうかで評価した。

 

結果

■ 1,994人のうち198人(9.9%)に何らかの感作が認められ、その大部分は食物アレルゲンだった(n = 177、8.9%)。

■ 生後3ヶ月の湿疹、ドライスキン、TEWL高値は生後6ヶ月の感作リスクを増加させた。

■ 調整オッズ比はそれぞれ4.20(95%CI 2.93-6.04)、2.09(95%CI 1.51-2.90)、3.67(95%CI 2.58-5.22)だった。

■ 湿疹は55.6%の感度・68.1%の特異度で感作を予測し、ドライスキンは感度65.3%・特異度57.3%で、TEWL高値は感度61.7%・特異度78.1%で感作を予測した。

 

結論

■ 生後3ヶ月の湿疹、ドライスキン、TEWL高値は、生後6ヶ月のアレルゲン感作を予測した。

皮膚バリア機能低下は、感作を予測する。

■ 皮膚のバリア機能低下が、その後の感作を予測することは、自分自身の研究結果で示しています。

■ なお、この報告はPreventADALL試験のコホートを用いた観察研究ですが、この研究はバスオイルを使用してアトピー性皮膚炎の

■ この研究手法ではアトピー性皮膚炎の発症予防にははたらきませんでした。

■ 現在、保湿剤塗布によるアトピー性皮膚炎発症予防策に関しては、ただ塗ればよいというわけではなく条件があるであろうと考えられるようになってきています。

 

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