以下、論文紹介と解説です。

Song K-B, Park MJ, Choi EJ, Jung S, Yoon J, Cho H-J, et al. Food allergy in early childhood increases the risk of oral allergy syndrome in schoolchildren: A birth cohort study. Pediatric Allergy and Immunology 2022; 33:e13786.

韓国で実施されたCOCOAコホート試験に参加した6~10歳の小児930人における、口腔アレルギー症候群の発症リスクを評価した。

背景

■ 韓国では、ここ数十年の間に花粉の飛散量が増加している。

■ 口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome; OAS)は、これまで認識されていたよりも小児期に頻発している可能性があることが研究により示唆されている。

■ そこで、一般人口ベースの出生コホートにおける6~10歳の小児におけるOASの有病率と特徴を調査することを目的とした。

 

方法

■ 小児喘息・アレルギー疾患コホート(cohort for childhood origin of asthma and allergic diseases; COCOA)から930人の小児を分析した。

■ アレルギー疾患は、小児アレルギー専門医によって毎年診断された。

■ 皮膚プリックテストは、3歳と7歳の一般小児を対象に、14種類の一般的な吸入アレルゲンと4種類の食物アレルゲンで行った。

 

結果

■ 対象となった930人の小児のうち、6~10歳の44人(4.7%)がOASと診断された。

■ 発症時の平均年齢は6.74歳だった。

■ OASの有病率は、併存疾患により、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)で7.2%、花粉症で19.1%だった。

■ OASは、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、食物アレルゲンやイネ科の花粉に対する感作を幼児期に持つ学童に多くみられた。

■ ARの学童では、3歳までの食物アレルギーの既往のみがOASのリスクを増加させた(aOR 2.971, 95% CI: 1.159-7.615)。

 

結論

■ 幼児期における食物アレルギーや食物感作は、ARを有する学童のOASと関連していた。

■ 幼児期の食物アレルギーがOASの発症に影響を与えるメカニズムを解明するために、さらなる研究が必要である。

 

この研究では、先行する食物アレルギーが、アレルギー性鼻炎より口腔アレルギー症候群のリスクになることを示した。

■ OASと花粉食物アレルギー症候群(PFAS)は、完全に同じ疾患ではありませんが、ここで論じられている内容は、PFASと考えて良いと思われます。

■ そして、メカニズムから考えるとPFASは、先行する花粉症が原因と考えることが多いのですが、本研究では先行する食物アレルギーが、リスクとして最も大きいと結論されています。

■ 花粉によるアレルギー性鼻炎に対するイタリアの研究では、アレルギー性鼻炎の罹病期間がOASと関連していたとしています(Dondi A, Tripodi S, Panetta V, et al. Pollen-induced allergic rhinitis in 1360 Italian children: comorbidities and determinants of severity. Pediatr Allergy Immunol. 2013; 24: 742- 751.)。

■ そして、日本からの研究でも、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの他のアレルギー疾患と有意な関連があったとしています。

 

■ ですので、結論づけるのはなかなか難しい印象を持ちました。

 

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