以下、論文紹介と解説です。

Boussault P, Léauté-Labrèze C, Saubusse E, Maurice-Tison S, Perromat M, Roul S, et al. Oat sensitization in children with atopic dermatitis: prevalence, risks and associated factors. Allergy 2007; 62:1251-6.

アレルギー検査のために紹介されたアトピー性皮膚炎児を前向きにリクルートし、アトピーパッチテストや皮膚プリックテストをオーツ麦タンパク質に対して行い、オーツ麦感作群に対して経口食物負荷試験や反復塗布テストを実施した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の外用剤は、皮膚アレルギーの原因となる可能性がある。

■ エモリエント/保湿剤に使用されているオーツ麦に対する経皮感作が既に報告されている。

■ そこで、AD小児におけるオーツ麦感作の有病率を測定し、その関連性を評価し、関連するパラメータを調べることを目的とした。

 

方法

■ 2001年6月から2004年12月に、アレルギー検査のために紹介されたADの小児を前向きにリクルートした。

■ アトピーパッチテスト(Atopy patch tests; APT)や皮膚プリックテスト(skin prick tests; SPT)をオーツ麦タンパク質(1%、3%、5%)や欧州標準シリーズに対して行い、その後、オーツ麦感作群に対して経口食物負荷試験(oral food challenge; OFC)および反復塗布テスト(repeated open application test; ROAT)を実施した。

結果

■ 302名の小児が登録された。

■ オーツ麦 APTとSPTはそれぞれ14.6%と19.2%の症例で陽性だった。

■ 2歳以下の小児では、APTが陽性となる割合が高かった.

■ オーツ麦感作児では、OFCとROATがそれぞれ15.6%(32例中5例)、28%(25例中7例)で陽性でだった。

■ オーツ麦クリーム使用者の32%がアトピーパッチテスト(APT)陽性であったのに対し、非使用者群では0%だった。

 

結論

■ アレルギー検査を受診したAD小児におけるオーツ麦感作は、予想以上に高い。

■ これは、表皮のバリア機能が低下している素因に加えて、オーツ麦を含む化粧品を繰り返し塗布した結果であると考えられる。

■ AD児には、オーツ麦タンパク質を含む外用剤を避けることを提案する。

スキンケア用品に含まれる食品成分は、感作のリスクを内包する。

■ オーツ麦の含まれた保湿剤が、皮膚の炎症を改善させるのに有効であるという報告もあります(Dermatology 2007; 214:61-7.)

■ しかし、食品や植物成分が皮膚の炎症を改善させるメカニズムを持っているとしても、感作のリスクも一方で内包していることも忘れずにいる必要があろうかと思います。

 

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモを記録しているものですので、細かい誤字脱字はご容赦ください。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。

知識の共有を目的に公開しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう