以下、論文紹介と解説です。
Hsiao K-C, Ponsonby A-L, Ashley S, Lee Cassandra Yuen Y, Jindal L, Team TPS, et al. Longitudinal antibody responses to peanut following probiotic and peanut oral immunotherapy in children with peanut allergy. Clinical & Experimental Allergy; n/a.
1歳から10歳のピーナッツアレルギーの小児62人を、プロバイオティクスを併用したピーナッツ免疫療法群とプラセボ群にランダム化し、有効性を比較した。
はじめに
■ プロバイオティクス・ピーナッツ経口免疫療法(Probiotic and Peanut Oral Immunotherapy; PPOIT)は、治療終了時に持続的無反応(unresponsiveness; SU)を誘発する効果があり、この効果は治療後4年まで持続する(持続的SUと呼ばれる)。
■ そこで、(i) PPOIT がピーナッツ特異的体液性免疫の指標をどのように変化させるか、(ii) このような経時的指標が持続性 SU とどのように関連するかを評価することを試みた。
方法
■ PPOIT-001 ランダム化試験に登録された小児患者(n = 62)の全ピーナッツおよびピーナッツコンポーネント(Ara-h1、-h2、-h3、-h8、-h9)特異的IgE抗体(sIgE)と特異的IgG4抗体(sIgG4)の血清/血漿量をイムノキャップ法で、唾液中のピーナッツ特異 IgA(sIgA)を ELISA で、治療前(T0)から治療後 4 年(T5)まで経時的に測定した。
■ 群間比較のために、対数変換した値の多変量回帰分析が用いられた。
■ 一般化推定方程式(Generalized estimating equations; GEE)は、群間の縦断的な比較に使用された。
結果
■ プロバイオティクス+ピーナッツによる経口免疫療法は、sIgEとsIgG4の経時的変化と関連していた。
■ 治療後、sIgE値は有意に減少した[[T5、PPOIT vs. Placebo 幾何平均(GM)比: Ara-h1 0.07, p = 0.008; Ara-h2 0.08, p = 0.007; Ara-h3 0.15, p = 0.021].
■ sIgG4抗体価は、治療終了までに有意に上昇したが(T1、PPOIT vs プラセボ GM比:Ara-h1 3.77, p = .011; Ara-h2 17.97, p < .001; Ara-h3 10.42, p < .001) 、PPOIT群では治療中止後減少しT5までにプラセボ群と同レベルになった。
■ 同様に、唾液中のピーナッツ sIgA は、治療開始 4 ヵ月後にはすみやかに増加した(PPOIT vs. Placebo, GM 比: 2.04, p = .014)が、治療後には減少した。
結論
■ プロバイオティクス+ピーナッツの経口免疫療法は、ピーナッツ特異的体液性反応の幅広い低下に関連し、それは治療後4年まで持続するSUの臨床効果を介すると思われる。
プロバイオティクスの併用が、ピーナッツ経口免疫療法に有効という結果ではあるが…
■ この研究では、Lactobacillus rhamnosus CGMCC 1.3724という菌株が選ばれています。
■ この菌株ですが、別の研究でも使われているようです(Moreira CF, Cassini-Vieira P, Canesso MCC, Felipetto M, Ranfley H, Teixeira MM, et al. Lactobacillus rhamnosus CGMCC 1.3724 (LPR) Improves Skin Wound Healing and Reduces Scar Formation in Mice. Probiotics Antimicrob Proteins.2021; 13:709-19.1. )。
■ どちらにしても、この種の検討は、『では整腸剤を飲めばよい』とはならず、菌株やその量、いつまで内服するかなどの解決しなければならない問題点が存在します。
■ また、対照群がプロバイオティクスを使わないピーナッツ免疫療法群ではないので、プロバイオティクスの併用が有効だった…とはいえないのではないのかとも思いました。
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