以下、論文紹介と解説です。

Spekhorst LS, Bakker D, Drylewicz J, Rispens T, Loeff F, Boesjes CM, et al. Patient-centered dupilumab dosing regimen leads to successful dose reduction in persistently controlled atopic dermatitis. Allergy; n/a.

成人のアトピー性皮膚炎患者90人を、デュピルマブ標準投与量(300mg/2週)を継続群(A群)、デュピルマブ投与間隔を50%延長(300mg/4週)群(B群)、デュピルマブの投与間隔66~75%延長(300mg/6~8週)群(C群)に分け、効果を比較した。

背景

■ 現在、コントロールされたアトピー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎; AD)におけるデュピルマブの様々な投与法に関する実臨床試験はない。

■ 本研究の目的は、コントロールされたAD患者における患者中心のデュピルマブ投与レジメンを臨床的に評価し、血清薬物濃度および血清バイオマーカーとの関連性を検討することである。

 

方法

■ BioDayの前向き登録から成人AD患者90人を、あらかじめ定義された患者中心の投与レジメンによるデュピルマブの投与間隔に基づいて組み入れた。

■ A群(n=30)は投与間隔延長の基準を満たさず、デュピルマブの標準投与量(300mg/2週)を継続、B群(n=30)はデュピルマブの投与間隔を50%延長(300mg/4週)、C群(n=30)はデュピルマブの投与間隔を66~75%延長(300mg/6~8週)した。

■ そして、AD重症度スコア、患者の報告したアウトカム、血清デュピルマブ量、血清バイオマーカーを経時的に分析した。

 

結果

■ 漸減期間中の疾患重症度スコアは、いずれの群でも経時的な有意な変化は認められなかった。

■ B群およびC群では、NRS(Numeric Rating Scale)-pruritusが間隔延長後に一時的に有意に上昇したが、低値を維持した(NRS-pruritusの中央値≦4)。

■ デュピルマブ濃度(中央値)は、A群(標準用量)では安定していたが、B群およびC群では標準用量時の値(88.2mg/L(IQR=67.1-123.0、p<0.001))に比べ有意に低下していた(24.1mg/L(IQR=17.1-45.6); 12.5mg/L(IQR=1.7-22.3) )。

■ また、疾患重症度バイオマーカー(CCL17/CCL18)は、全観察期間中、全群で低値を維持した。

 

結論

■ 本研究では、患者中心の投与方法を用いることで、コントロールされたAD患者のサブグループにおいて減量が成功することが示された。

■ これらの患者は、長期にわたって安定した疾患活動性と重症度バイオマーカー低値を示した。

 

デュピルマブの投与間隔に関して、工夫していくことができるかもしれない。

■ デュピルマブは現状では小児に使用できませんが、最近、結節性痒疹への保険適用も拡大しようとしており、注目されています。

■ しかし一方で、高価であることから継続することが難しいケースがあります。

■ また、副作用の一つである結膜炎を避ける可能性もあると述べられていました。

■ そこで、今回のような、間隔をのばすようなレジメンも今後考えていってもいいのかもしれません。

 

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