以下、論文紹介と解説です。

Antoon JW, Hall M, Howard LM, Herndon A, Freundlich KL, Grijalva CG, et al. COVID-19 and Acute Neurologic Complications in Children. Pediatrics 2022DOI: 10.1542/peds.2022-058167.

2020年3月~2022年3月に、小児病院52施設から退院した新型コロナに罹患歴のある生後2ヶ月~18歳未満の小児を対象に、神経学的合併症の疫学と転帰を調査した。

背景

■ 小児におけるCOVID-19に関連した神経学的合併症の疫学と転帰については十分判明していない。

 

方法

■ 2020年3月~2022年3月に52の小児病院から退院したCOVID-19の生後2ヶ月~18歳未満の小児を対象に横断研究を実施した。

管理人注
この研究は、小児医療情報システム( Pediatric Health Information System; PHIS)という、米国の小児病院の情報収集するシステムが利用されています。

 

■ 神経学的合併症は、脳症、脳炎、無菌性髄膜炎、熱性けいれん、非熱性けいれん、脳膿瘍・細菌性髄膜炎、ライ症候群、脳梗塞と定義した。

■ 入院期間(length of stay; LOS),集中治療室(intensive care unit; ICU)入室、30日間の再入院、死亡、病院コストを評価した。

■ 多変量ロジスティック回帰を用いて、神経学的合併症に関連する因子を同定した。

 

結果

■ COVID-19で入院した小児15,137人のうち、1060人(7.0%)が神経学的合併症の併発と診断された。

■ 最も頻度の高い神経学的合併症は,熱性けいれん(3.9%)、非熱性けいれん(2.3%)、脳症(2.2%)だった。

■ 神経学的合併症のある小児では、合併症のない小児に比べ、病院のLOS、ICU入室、ICUにおけるLOS、30日間の再入院、死亡、病院コストが高かった。

■ 神経学的合併症のオッズ低下と関連する因子には、若年(aOR 0.97; 95% CI 0.96-0.98)、デルタバリアント優勢時の発症(aOR 0.71; 95% CI 0.57- 0.87)、非神経学的複雑性慢性疾患(complex chronic condition; CCC)の存在(aOR 0.80; 95% CI 0.69-0.94)などがあった。

■ 神経学的CCCの存在は、神経学的合併症の高いオッズと関連していた(aOR 4.14; 95% CI 3.48-4.92)。

 

結論

■ 神経学的合併症はCOVID-19で入院した小児によく見られ、病院での転帰の悪化と関連している。

■ この知見は、小児、特に神経学的合併症を有するようなハイリスク群におけるCOVID-19の予防接種の重要性を強調するものである。

 

急性の神経学的な症状のみならず、長期的な影響も懸念される。

■ これら神経学的な急性期の症状がすくなからずあることが明らかになるにつれ、長期的に神経学的な症状が続くのかどうかが懸念されている状況です(Stafstrom CE. Neurological effects of COVID-19 in infants and children. Developmental Medicine & Child Neurology 2022;64:818-29.)。

■ ワクチンによりどれくらいこれらの発生を軽減できるかどうかはこれからの研究もまつ必要性があります。

■ しかし、すくなくとも今回ご紹介した研究は、ワクチンの重要性を強調していました。

 

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