以下、論文紹介と解説です。

Muller T, Luc A, Adam T, Jarlot-Chevaux S, Dumond P, Schweitzer C, et al. Relevance of sensitization to legumes in peanut-allergic children. Pediatric Allergy and Immunology 2022; 33:e13846.

ピーナッツアレルギーが確認され、少なくとも1つの他の豆類の摂取歴または感作が記録されている1~17歳の小児122人に対し、豆類に対する感作の有病率と関連性を検討した。

背景

■ 過去20年間に豆類の消費量は増加した。

■ フランスでは、小児の食物関連アナフィラキシーの14.6%が豆類であり、その主要アレルゲンはピーナッツである(77.5%)。

■ しかし、ピーナッツと他の豆類の間の交差反応性を証明した研究はほとんどない。

■ 本研究の目的は、ピーナッツアレルギー児の豆類に対する感作の有病率と関連性を明らかにすることである。

 

方法

■ 2017年1月1日から2020年2月29にNancy大学病院小児アレルギー科に入院した、ピーナッツアレルギー(peanut allergy; PA)が確認され、少なくとも1つの他の豆類の摂取または感作が記録されている1~17歳のすべての小児が対象となった。

■ それぞれのマメ科植物の摂取歴、皮膚プリックテスト、特異的免疫グロブリンE抗体価(IgE)、アレルギー反応歴、経口食物負荷試験に関するデータをレトロスペクティブに収集した。

 

結果

■ 対象となった195人のPA患者において、122人が少なくとも1つの他の豆類に感作されていた(63.9%)。

■ 主な感作は、フェヌグリーク(N=61、66.3%)、レンズ豆(N=38、42.2%)、大豆(N=61、39.9%)、ルピナス(N=63、34.2%)だった。

■ 感作された児122名のうち,少なくとも1つのマメ科植物に対するアレルギーが確認されたのは34人(27.9%)であり、うち6人は複数のマメ科植物に対するアレルギーがあった(4.9%)。

■ レンズ豆、ルピナス、エンドウ豆が主な原因アレルゲンであった。

■ ピーナツ以外の豆類に対するアレルギー反応の半数は重症であった。

 

結論

■ 豆類感作の高い有病率やPA患児で報告された重篤な反応の頻度から、PAの場合、各豆類について許容される摂取量を検討し、そうでなければ感作を検討すべきであると強調された。

 

重要なメッセージ

■ ピーナッツにアレルギーがある小児のうち、少なくとも3分の2は他の豆類に感作されており、感作された患者の4分の1は豆類アレルギーと診断された。

■ レンズ豆、ルピナス、エンドウ豆が主な原因アレルゲンであった。

■ フェヌグリークアレルギーは感作児の約10%に認められた。

■ ピーナッツ以外の豆類に対するアレルギー反応の半数は重篤な反応だった。

■ 豆類感作の高い有病率とピーナッツアレルギーの小児で報告された頻繁な重篤な反応は、ピーナッツアレルギーの場合、各豆類について許容される摂取量を検討し、そうでなければ感作を検討すべきことを強調するものだった。

 

ピーナッツアレルギーがあっても、多くの場合は豆類は摂取できるというのが、これまでの教科書的な記載ではあったが…

■ これまで、ピーナッツアレルギーがあると、他の豆類にも感作されている事自体は、いままでも交差抗原性が指摘されていたこともありこんなものかなと思いましたが、ピーナッツアレルギーがあっても他の豆類は多くの場合摂取可能であることを臨床的に経験しており、今回の研究結果はやや意外なものでした。

■ これが地域や国による違いなのかどうか、現状ではわかりません。

■ しかし、見逃している可能性があるかどうかを再度見直してみる必要もあるのかなと感じました。

 

 

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