以下、論文紹介と解説です。
Anderson EJ, Creech CB, Berthaud V, Piramzadian A, Johnson KA, Zervos M, et al. Evaluation of mRNA-1273 Vaccine in Children 6 Months to 5 Years of Age. New England Journal of Medicine 2022DOI: 10.1056/NEJMoa2209367.
mRNA-1273(モデルナ社製)を2回接種群(2~5歳の児3040人と生後6~23カ月の児1762人)、プラセボ接種群(2~5歳の小児1008人と生後6~23カ月593人)にランダム化し、安全性と有効性が検討した。
背景
■ mRNA-1273コロナウイルス症2019(Covid-19)ワクチンの年少児に対する安全性、反応原性、免疫原性、有効性は不明である。
方法
■ 現在進行中のこの第2-3フェーズ相試験のパート1は、用量選択のためのオープンラベルだった。
■ そしてパート2は、選択された用量の観察者盲検プラセボ対照評価だった。
■ パート2では、年少児(生後6ヶ月から5歳)を3:1にランダム化し、mRNA-1273の25μgまたはプラセボの注射を、28日間隔で2回投与した。
■ 主な目的は、ワクチンの安全性と反応原性を評価すること、これらの小児における免疫反応が、関連する第3フェーズ試験の成人(18〜25歳)の免疫反応と比較して非劣性であるかどうかを判断することだった。
■ 副次的目的は、mRNA-1273もしくはプラセボ投与後のCovid-19および新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; SARS-Cov2)感染症の発生率を測定することだった。
結果
■ パート1の安全性と免疫原性の結果に基づき、パート2では25μgの用量が評価された。
■ パート2では,2~5歳の児3040人と生後6~23カ月の児1762人が、mRNA-1273の25μg注射を2回受ける群に、2~5歳の小児1008人と生後6~23カ月593人がプラセボを受ける群にランダム化された.
■ 2回目の注射後のフォロー期間の中央値は、2~5歳児で71日、6~23カ月児で68日だった。
■ 有害事象は主に軽症で一過性のものであり、安全性に関する新たな懸念は確認されなかった。
■ 57日目の中和抗体幾何平均濃度は,mRNA-1273の100 μg注射を受けた若年成人の1391(95%CI 1263~1531)に対し、2~5歳児で1410(95%CI 1272~1563)、6~23カ月児で1781(95%CI 1616~1962)となり、両年齢集団の免疫反応について非劣性基準を満たした。
■ Covid-19に対する推定ワクチン効果は、B.1.1.529(omicron)が優勢な循環変異体である2~5歳児で36.8%(95%CI 12.5~54.0)、6~23カ月児で50.6%(95%CI 21.4~68.6)だった。
結論
■ mRNA-1273 ワクチンは、生後6 ヵ月から5 歳の小児に 25 μg を 2 回接種しても安全であり、若年成人の免疫応答と遜色ない免疫応答が得られた。
個々人の考え方に依存はするものの、生後6ヶ月から4歳のワクチンの安全性や有効性が報告されるようになっている。
■ 10月14日に、オミクロンBA.4/5対応型も使用できるようになりました。
■ 製造方法自体が異なるものではありませんので、安全性などに対する懸念はとくに増えると想定しにくいでしょう。
■ そもそも、新型コロナに普通に罹患した場合、ウイルスが無秩序に増加するフェーズ、制御されないほどmRNAが増えるフェーズを通りうるということです。
■ 生後6ヶ月から4歳のお子さんに対するワクチンの効果に関し、すでに研究報告がではじめています。
■ そして3回接種でようやく効果が見込めることを考えると、希望されている方であれば早々に接種を始める必要性があります。
■ あくまで個人的な考えを含みますが、普段診療している患者さんから尋ねられれば、基本的に推奨するでしょう。
■ とはいえ、岡部先生のおっしゃるとおり、『どこか引っかかるので前向きになれないという人には様子をみるという選択があっても良い』とも思います。
■ その『選択肢』があるかないかが重要と思います。
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■ ただ、今シーズンは、インフルエンザも同時に流行する可能性があることから、医療面から支えきれなくなる可能性は低くありません。
■ そうすると、やはり接種するほうがよりベターと思えます。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。
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