以下、論文紹介と解説です。

Liang J, Hu F, Tang H, et al. Systematic review and network meta-analysis of different types of emollient for the prevention of atopic dermatitis in infants. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV. 2022.

乳幼児期からの保湿剤定期塗布によるアトピー性皮膚炎の発症予防をあつかった11研究に対する、システマティックレビュー&メタアナリシスを実施した。

■ 乳幼児のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)に対する予防的な保湿剤の塗布は有効な戦略であるが、保湿剤の違いによる差は不明である。

■ そこで、乳幼児AD予防における保湿剤の違いを比較するために、ネットワークメタ解析を行った。

■ PubMed、EMBASE、Cochrane libraryで系統的な検索を行い、開始日から2022年2月28日までの関連研究を特定した。

■ さらに、Cochrane risk of bias assessment tool を用いて、適格な研究の質を評価した。

■ データ解析はSTATA 14.0を使用して行った。

■ 11研究がデータ解析に含まれた。

■ 直接メタアナリシスでは、保湿剤の早期塗布がハイリスク乳児のAD発症を効果的に予防することが示唆された(リスク比[RR] 0.64;95%信頼区間[CI]0.47~0.88)。

■ ネットワークメタアナリシスでは、保湿乳液が乳児のAD発症を予防するためのより良い選択肢である可能性が示唆され、累積順位曲線下面積(surface under the cumulative ranking curve; SUCRA)はすべての集団で82.6%、ハイリスク集団で78.0%、食物感作の集団で79.2%だった。

■ さらに、保湿剤を塗布された被験者は、有害事象を多く経験した。

■ 全体として、保湿剤早期使用は、ハイリスク乳児のAD発症予防に有効な戦略であり、保湿乳液が最適なタイプである可能性が示唆された。

■ この結果を検証するため、今後、十分にデザインされた大規模な研究が必要である。

 

新生児期からの保湿剤定期塗布によるアトピー性皮膚炎発症予防に関しては、条件があると思われ、徐々にその内容があきらかになってきているように思われる。

■ コクランシステマティックレビューでは、13研究が含まれましたが、2本のの学会抄録が含まれていました。また、ハイリスク児に対するサブグループ解析は行われていませんでした。

■ 以前お話したように、わたしは保湿剤によるアトピー性皮膚炎の発症予防には条件があると考えており、徐々にその条件が明らかになっているように思えます。

 

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