以下、論文紹介と解説です。

尾辻 健太,他. 子持ちシシャモ (Mallotus villosus) によるアナフィラキシーの2例. 日本小児アレルギー学会誌. 2019;33(2):175-179.

子持ちシシャモのによりアナフィラキシーを起こした2例。

■ 子持ちシシャモ (Mallotus villosus〔カラフトシシャモ, 別名 : カペリン [以下, シシャモ] 〕) 経口摂取によるアナフィラキシーを2例経験したので報告する.

■ 2例とも食物アレルギーの既往はなく, シシャモ摂取歴は不明であった.

■ 1例目は6歳男児.

■ シシャモなど摂取後アナフィラキシーをきたした.

■ シシャモの皮膚プリックテスト (SPT) の結果, 生では身は陰性で卵は強陽性, 加熱では身・卵とも陽性であった.

■ 焼いたシシャモの食物経口負荷試験 (OFC) では, 身と卵のOFCいずれもアナフィラキシーをきたし, 卵ではアドレナリン筋注を要した.

■ イクラ, タラコはともに特異的IgE陰性かつOFC陰性であった.

■ 2例目は7歳男児.

■ シシャモなど摂取後眼瞼腫脹あり. 加熱シシャモのSPTは身で陰性, 卵で弱陽性であった.

■ 焼きシシャモOFCの結果, 身は陰性であったが, 卵はアナフィラキシーを認めた. イクラは自宅で症状なく摂取可能で, タラコOFCは陰性であった.

■ 以上より, シシャモ卵独自のアレルゲンが存在する可能性があると考えられた.

 

ししゃもの卵に対する報告は乏しい。

■ 魚卵アレルギーは圧倒的にイクラが原因であることがおおく、魚卵アレルギーの95%を占めるとされています。

■ その『交差抗原性』は十分わかっておらず、アンケート調査から、いくらアレルギーのある人の1割程度に子持ちししゃもにも症状があったという報告があります。しかし、アンケート調査によるものであり、実際にはもっと低い可能性もあります。

■ 魚卵アレルギーに関しては、まだ研究の必要な分野ではあるものの、日常的に摂取する地域はおおくはなく、日本での研究の進展が望まれます。

 

 

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