以下、論文紹介と解説です。

Venter C, Warren C, Samady W, Nimmagadda SR, Vincent E, Zaslavsky J, et al. Food allergen introduction patterns in the first year of life: A US nationwide survey. Pediatric Allergy and Immunology 2022; 33:e13896.

背景

■ 過去10年間に予防ガイドラインが変更され、現在では食物アレルゲンの導入を遅らせずに、ピーナッツと卵は早期に導入することが推奨されている。

■ そこで本研究は、乳幼児期の食物アレルゲンの導入に関する保護者の実践を調査した。

 

方法

■ 米国の人口ベースサンプル3062人の保護者(児が生後7か月~3.5歳)を対象に調査を実施した(2021年)。

■ 人口統計学と食事習慣の情報を収集した。

■ R 4.1 の svyr パッケージを用いて,重み付き度数と比率を算出した。

■ 統計的推論には、調査重み付きカイ二乗統計と共変量調整済み調査重み付きロジスティック回帰モデルを使用した。

 

結果

■ 牛乳、小麦、大豆が導入アレルゲンの上位3位だった。

■ ピーナッツと卵は、生後7か月までに17.2%と15.5%の養育者が、1歳までには58.8%と66.4%の養育者がそれぞれ導入していた。

論文から引用。(緑とオレンジが逆…?)

詳細は画像の後のキャプションに

■ ピーナッツと卵の導入年齢は、人種・民族(p<0.001)や養育者の年齢(p<0.001)により有意な差がみられた。

■ 7か月以前のピーナッツと卵の導入は、1歳以前の他のアレルゲン食品の導入の増加と有意に関連していた(p=<0.001;ピーナッツ、p=<0.001;卵)。

■ 生後7カ月以前にピーナツと卵を導入した養育者は、1歳までにそれぞれ平均5.4個と4.5個の食物アレルゲンを追加で与えていた。

■ 『早期食物アレルゲン導入製品』を3回以上与えたと報告した養育者は0.9%と少数であり、これは親の食物アレルギー(OR = 2.2)やアレルギー専門医の受診歴(OR = 6.7)と有意に関連していた。

 

結論

■ 半数以上の保育者が1歳までにピーナッツを、3分の1が卵を導入していないが、過去5年間にピーナッツと卵の早期導入へのシフトが観察された。

■ ピーナッツと卵の導入は、他の食物アレルゲンの摂取量の増加と関連しているようである。

 

離乳食への考えかたのアップデートは、さらに進めていく必要があるでしょう。

■ 離乳食がスムーズに進んだかどうかでもかなり差がでそうな感じではあるものの、参考になるデータと言えそうです。

■ 個人的には、卵に関しては日本のほうがはやく導入しているのではないかと思えました。

■ これには、『鶏卵アレルギー発症予防に関する提言』と2019年に改定された『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)』が影響しているのではと感じました。

 

■ 一方で、『数回食べたので大丈夫』と、たとえば1ヶ月以上卵を食べていない状態から、大きく増量して食べると症状が誘発されたという例も経験します。

■ 多い量から始めずに、摂取回数も意識したほうがよいと考えています。

 

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