以下、論文紹介と解説です。

Halling AS, Rinnov MR, Ruge IF, Gerner T, Ravn NH, Knudgaard MH, Trautner S, Loft N, Skov L, Thomsen SF, Egeberg A, Guttman-Yassky E, Rosted ALL, Petersen T, Jakasa I, Kezic S, Thyssen JP. Skin TARC/CCL17 increase precedes the development of childhood atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol 2022.

300人の正期産児と150人の早産児に関し、生後0-3日および2カ月に皮膚テープストリッピングを採取し、免疫およびバリアバイオマーカーを確認した上で2歳までのアトピー性皮膚炎の発症を検討した。

背景

■ 乳児期に採取した皮膚バイオマーカーがアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の発症を予測し、将来の予防試験でリスク児の同定に利用できるかどうかは未知数である。

 

目的

■ 皮膚バイオマーカーが生後2歳までのアトピー性皮膚炎を予測できるかどうかを検討することを目的とした。

 

方法

■ 300人の正期産児と150人の早産児を出生時に登録し、2歳までADを追跡調査した。

■ 生後0-3日および2カ月に皮膚テープストリッピングを採取し、免疫およびバリアバイオマーカーを分析した。

■ ADのリスクについて、Cox-回帰法を用いてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 

結果

■ ADの2年間の有病率は、正期産児で34.6%(99/286)、早産児で21.2%(25/118)だった。

■ 出生時に採取した皮膚バイオマーカーはADを予測しなかった。

■ 生後2カ月で採取したTARC/CCL17上昇は、ADの全リスク(HR 2.11; 95% CI 1.36-3.26; P=0.0008)や、中等症から重症AD(HR 4.97; 95% CI 2.09-11.80; P=0.0003)を増加させた。

■ インターロイキン(IL)-8 と IL-18 は、中等症から重症 AD を予測した。

■ フィラグリン分解産物の低値は AD のリスクを増加させた(HR 2.04; 95% CI 1.32-3.15; P=0.001)。

■ 2ヵ月後のバイオマーカー値の上昇は、採取後、何ヶ月かあとの時点、他の皮膚部位のADを予測した。

 

結論

■ 本研究は、非侵襲的に収集されたバリアや免疫経路の皮膚バイオマーカーが、ADの発症に先行する可能性があることを示した。

皮膚バリア機能とTh2サイトカインの産生。その2つの時期がアトピー性皮膚炎発症の予測因子となるかもしれない。

■ 個人的には、出生時の皮膚バリア機能と、出生後しばらくしてからのTh2バイオマーカーがその後のアトピー性皮膚炎発症の鍵になると考えているので、その補強となる報告でした。

 

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