そば特異的IgE抗体価で、そばアレルギーを予測することは困難。
■ そばアレルギーは、決して少なくない食物アレルギーですが、特異的IgE抗体価で予測困難です。
■ そのため、コンポーネント検査が期待されています。
※Fag e 3特異的IgE抗体価の保険適用は現状ではありません。
Yanagida N, Sato S, Maruyama N, Takahashi K, Nagakura KI, Ogura K, et al. Specific IgE for Fag e 3 Predicts Oral Buckwheat Food Challenge Test Results and Anaphylaxis: A Pilot Study. Int Arch Allergy Immunol 2018; 176:8-14.
そば蛋白3,072 mg(ゆでそば64g相当)を用いた食物経口負荷試験を行った小児を対象に、そば特異的IgE抗体価とFag e 3特異的IgE抗体価の負荷試験陽性予測精度を後ろ向きに検討した。
背景
■ ソバ(Buckwheat; BW)は、生命を脅かすアレルゲンの原因である。
■ Fag e 3-sIgEはBW-sIgEよりも診断に有用であるが、Fag e 3-sIgEが食物経口負荷試験(oral food challenge; OFC)の結果やアナフィラキシーを予測できるかどうかは不明である。
■ そこで、Fag e 3-sIgEがOFCの結果やアナフィラキシーを予測する有効性を明らかにすることを目的とした。
方法
■ 2006年7月から2014年3月までに国立病院機構相模原病院で3,072 mgのBW蛋白を用いてOFCを行った小児のBW-sIgEやFag e 3-sIgEをImmunoCAP® assay systemや蛍光酵素結合免疫吸着法を用いて検討し、後ろ向き研究を実施した。
論文より引用。試験参加者。
結果
■ 1.9~13.4歳(中央値6.0歳)の60例を解析し、20例(33%)がBW OFC時に客観的症状を示した。
■ 症状のない患者は、BWに対する非アナフィラキシー反応(p < 0.001)やアナフィラキシー反応(p = 0.004)に比べて有意にFag e 3-sIgEが低値だった。
■ Fag e 3-sIgEは、OFCの陽性(オッズ比8.93; 95%信頼区間3.10-25.73,p<0.001)やアナフィラキシー(2.67, 1.12-6.35,p=0.027 )を有意に予測する検査だった。
■ このことから、Fag e 3-sIgEの閾値18.0 kUE/LはBWに対する陽性反応を惹起する確率が95%であることが示唆された。
結論
■ Fag e 3-sIgEは、OFCの結果やOFCによるアナフィラキシーを予測可能であった。
■ そしてさらに、BW OFCによるアナフィラキシーのリスクに十分注意することを強調する。
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