生後6ヶ月から2歳未満の乳幼児に対するデルゴシチニブ(商品名コレクチム)軟膏の有効性と有害事象は?

外用JAK阻害薬であるコレクチム軟膏が、2023年1月に生後6ヶ月から使用できるようになりました。

■アトピー性皮膚炎は、成人(7~10%)よりも小児(25%)に多いとされ、その後のアレルギー疾患の発症リスクをあげることがわかっています。

■ しかし、2歳未満のアトピー性皮膚炎に対し、これまではステロイド外用薬のみしか使用できませんでした。

■ そのようななか、デルゴシチニブ(コレクチム)軟膏が生後6ヶ月から使用できるようになった根拠になったQBB4-2試験の結果が論文化されて公開されました。

Nakagawa H, Igarashi A, Saeki H, Kabashima K, Tamaki T, Kaino H, et al. Safety, efficacy, and pharmacokinetics of delgocitinib ointment in infants with atopic dermatitis: A phase 3, open-label, and long-term study. Allergology International 2023.

背景

■ ヤヌスキナーゼ阻害剤の外用剤であるデルゴシチニブ軟膏は、日本では2歳以上のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)患者の治療薬として使用されている。
■ そして小児期のAD発症時には適切な早期治療を開始することが重要であるものの、乳幼児のADに対するデルゴシチニブ軟膏の安全性と有効性は確立されていない。

方法

■ この第3相試験は、2020年10月から2022年6月まで実施された(番号JapicCTI-205412)。
■ 生後6カ月から24カ月未満のADの適格な日本人乳児に、デルゴシチニブ軟膏0.25%または0.5%を1日2回、52週間、非盲検非対照で塗布した。

■ 治療期間中のAD増悪に対しては、治験責任医師の判断でステロイド外用塗布が許可された。

結果

■ 計22名の乳児が登録された。
■ 有害事象(Adverse events; AE)は21名(95.5%)の乳児で報告され、そのほとんどが軽症だった。
■ 治療関連の有害事象は報告されなかった。

■ Modified Eczema AreaとSeverity Index(mEASI)スコアは4週目まで継続して低下し、52週目までスコアの減少が維持された。

■ ベースラインからのmEASIスコアの平均変化率は、4週目に-73.5%、28週目に-81.7%、52週目に-81.9%だった。

■ デルゴシチニブは、ほとんどの乳児の血漿中に検出されなかった(68.2%~95.2%)。

結論

■ デルゴシチニブ軟膏は、日本人のADの乳児に塗布した場合、忍容性が高く、最長52週間有効だった。

 

 

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