食物を早期導入し、食物アレルギー発症を予防する…現在までのメタアナリシスを確認すると?

アレルゲンを早期導入して食物アレルギーの発症予防を行うという手法は、エビデンスがある卵・ピーナッツ以外にも検討が進み始めている。

ピーナッツアレルギーの発症予防に関し、『ピーナッツを生後5-10ヶ月に開始』とする方法が有効とするLEAP研究が2015年に公開されて、早くも8年が経過しました。

■ さらに、乳や、複数の食品の同時摂取など、さまざまな研究結果が公開され始めています。

■ そのようななか、JAMA Pediatricsにメタアナリシスが公開されました。

 

Scarpone R, Kimkool P, Ierodiakonou D, Leonardi-Bee J, Garcia-Larsen V, Perkin MR, et al. Timing of Allergenic Food Introduction and Risk of Immunoglobulin E–Mediated Food Allergy: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatrics 2023.

乳幼児期にアレルゲンを含む食品(牛乳、卵、魚、貝類、木の実類、小麦、ピーナッツ、大豆)を導入することで、1歳から5歳までの即時型食物アレルギーの発症予防を評価したランダム化臨床試験による、メタアナリシスを実施した。

重要性

■ 卵やピーナッツの早期導入は、卵アレルギーやピーナッツアレルギーのリスクを低減するとされるが、アレルゲンを含む食品の早期導入が食物アレルギー全般の予防につながるかどうかはまだ明らかでない。

目的

 乳幼児の食事へのアレルゲンを含む食品の導入時期と食物アレルギーのリスクとの関連を調査することである。

データソース

■ このシステマティックレビューとメタアナリシスでは、Medline、Embase、CENTRALデータベースからデータベース開設以来2022年12月29日までの文献を検索した。

研究の選択

 乳幼児期にアレルゲンを含む食品(牛乳、卵、魚、貝類、木の実類、小麦、ピーナッツ、大豆)を導入し、1歳から5歳までのIgE依存性食物アレルギーを評価したランダム化臨床試験を対象とした。
■ スクリーニングは複数の著者により独立して行われた。

データの抽出と統合

■ 「Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses」ガイドラインに従い行った。
■ データは二重に抽出し、ランダム効果モデルを用いて統合した。エビデンスの信頼性の評価には、「Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluation」フレームワークを用いた。

主なアウトカムと測定法

■ 主要なアウトカムは、1歳から5歳までの全ての食品に対するIgE依存性アレルギーのリスクと、介入の中止だった。
■ 副次的なアウトカムは、特定の食品に対するアレルギーだった。
■ スクリーニングされた9283タイトルのうち、23の適格試験(56論文、13794人の無作為化参加者)からデータが抽出された。
■ 4試験(参加者3295名)によると、生後2~12ヵ月(中央値3~4ヵ月)で複数のアレルゲンを含む食品の導入は食物アレルギーのリスク低減と関連するという中程度の確実性の証拠が得られた(リスク比[RR]0.49;95%CI 0.33~0.74;I2=49%)。
 食物アレルギーの発生率が5%の集団での絶対リスク差は、1000人あたり-26例(95%CI、-34~-13例)だった
■ 5試験(参加者4703名)によると、生後2ヵ月から12ヵ月までの複数のアレルゲンを含む食品の導入は、介入中止が増えるという中程度の確実性の証拠が得られた(RR 2.29; 95% CI, 1.45-3.63; I2 = 89%)。
■ 介入中止が20%の集団での絶対リスク差は、1000人あたり258例(95%CI、90~526例)であった。
 生後3ヵ月から6ヵ月での卵の導入が卵アレルギーのリスク低減と関連する(RR 0.60; 95% CI, 0.46-0.77; I2 = 0%)という9試験(4811名)による高確実性の証拠と、生後3ヵ月から10ヵ月でのピーナッツの導入がピーナツアレルギーのリスク低減と関連するという4試験(3796名)による高確実性の証拠があった (RR 0.31; 95% CI, 0.19-0.51; I2 = 21%)。
■ 牛乳の導入時期と牛乳アレルギーのリスクに関するエビデンスは、非常に低い確実性であった。

結論と関連性

■ このシステマティックレビューとメタアナリシスによれば、生後1年以内に複数のアレルゲンを含む食品を早期に導入することは、食物アレルギーの発症リスクは低下させる一方で、介入の中止率は上昇することと関連した。
■ 乳幼児とその家族にとって安全で、受け入れやすいアレルゲンを含む食品の介入を開発するためには、さらなる取り組みが必要である。

 

 

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