新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症(FPIES)は、いつごろ軽快するか?

新生児・乳児食物蛋白胃腸症(以前は新生児乳児消化管アレルギーなどと呼称)の患者さんが増えています。

■ 食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)は、一般的にIgEが関係しない消化管アレルギーです。
■ 主な症状は、食物摂取後の1~4時間以内に見られるくりかえす嘔吐で、皮膚症状や呼吸器症状は一般的にありません。

■ 新⽣児・乳児⾷物蛋⽩誘発胃腸症のひとつの病型であるFPIESは、最近増えているという報告があります。

■ しかし、FPIESの予後に関しての報告は不十分な状況です。

■ そのようななか、最近、フランスからの多施設研究があり、参考になりそうだったので共有します。

Lemoine A, Colas AS, Le S, Delacourt C, Tounian P, Lezmi G. Food protein-induced enterocolitis syndrome: A large French multicentric experience. Clin Transl Allergy. 2022 Feb;12(2):e12112.

2014年から2020年にフランスの2つの小児三次医療機関にFPIESのために紹介された179人の小児のデータをレトロスペクティブに収集した。

背景

■ 食物蛋白誘発胃腸症(FPIES)は、IgE非依存性食物アレルギーであり、嘔吐による二次的な脱水症状を伴う可能性がある。
■ 原因食物は国によって異なり、耐性となる年齢も国によって異なる。
■ そこで、フランスのFPIES患児集団の特徴を説明し、食物負荷時の失敗の危険因子を定義することを目的とした。

方法

■ 2014年から2020年に2つの小児三次医療機関に、FPIESのために紹介された179人の小児のデータをレトロスペクティブに収集した。
■ FPIESの診断は、国際的なコンセンサスガイドラインに基づいた。
■ 臨床的特徴、原因食品、軽快時の年齢を評価した。
■ 耐性は、OFCまたは偶発的な曝露後に有害反応がないことと定義した。

結果

■ 192名のFPIESの記述では、初発症状の年齢は5.8ヶ月齢だった。
■ 主な原因食品は牛乳(60.3%)、鶏卵(16.2%)、魚(11.7%)だった。

■ 単抗原FPIESは94.4%、多抗原FPIESは5.6%にみられた。
■ FPIESの軽快年齢は2.2歳で、軽快は牛乳よりも魚の方が遅かった(2.9歳 vs 2.0, p = 0.01)。

■ 重症の急性FPIESは、軽快遅延の危険因子(RR:3.3[1.2-9.2])であり、IgE感作は関連しなかった。
■ 最初の反応後12ヶ月以内に食物負荷を行うことは、負荷失敗のリスクが高まった(OR:2.6[1.1-6.6])。

結論

■ このフランスにおけるFPIES患児集団では、主な原因食品は一般的なものだった。
■ 米、麦、大豆はほとんど関与しないか、関与しなかった。
■ 多抗原FPIESはまれだった。
■ FPIESの予後が良好であること、魚類や重症急性FPIESの場合、FPIESの軽快が遅いことが確認された。

 

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