食物アレルゲンを離乳食に早期導入し、食物アレルギーの発症予防を試みる方法が普及してきています。
■ 離乳食にピーナッツや卵を早期導入する方法で、食物アレルギーを予防できるという報告が2015年以降ランダム化比較試験で証明されました。
■ 一方で、『微量で多くの種類のアレルゲンを摂取する』という方法も提案されるようになってきて、それを考慮した製品も市販されるようになりました。
■ しかし、これらの製品に関しては世界的にも問題点も指摘されています。
■ そのような製品にどれくらいアレルゲンが含まれるかを検討した報告があります。
Filep S, Chapman MD. Doses of specific allergens in early introduction foods for prevention of food allergy. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2022; 10:150-158. e153.
市販の早期アレルゲン導入食品(EIF)32 製品のそれぞれ 1~8 サンプル(総計 86サンプル)のなかに含まれるアレルゲン量を確認した。
背景
■ ピーナッツなどの一般的なアレルゲンを幼少期に摂取することは、ハイリスク児の食物アレルギーのリスクを低減することができ、臨床ガイドラインの改訂版でも推奨されている。
■ 乳児に与えるための単一または複数のアレルゲンを含む市販の早期アレルゲン導入食品(EIF)は、食物アレルギー予防の補助食品として消費者や医療従事者に宣伝されている。
目的
■ EIF に含まれる主要な食物アレルゲン濃度と用量を明らかにする。
方法
■ 32種類のEIFと4種類の対照食品から抽出したエキスを17 種類のアレルゲンについて分析した。
■ すなわち、Ara h 1、Ara h 3、Ara h 6、Bos d 5、Bos d 11、Gal d 1、Gal d 2、Ana o 3、Cor a 9、Jug r 1、Gly m 5、Ses i 1、Api g 1、Sin a 1、Cyp c 1、shrimp tropomyosin、Tri a 19 の17種類のアレルゲンを有効蛍光多重アレイで測定した。
■ Ara h 2 は酵素結合免疫吸着法(ELISA)で測定した。
結果
■ EIF は 32 食品 1~8 サンプル(n = 86)で構成された。
■ ピーナッツ包装(7gあたり65-182mg)では、最大26,000μg/gのピーナッツアレルゲンが含まれた。
■ ピーナッツアレルゲンは、混合食品ブレンド包装では検出されなかった。■ 10,000 μg/gを超える主要アレルゲン値が、いくつかの乳・卵・ピーナッツ粉末、もしくはその組み合わせで検出され、EIFにおける累積アレルゲン量は159-2946mgだった。
■ 混合食品ブレンド粉末、クラッカー、フルーツソースは、はるかに低いアレルゲン量を含み、しばしば<10 μg/gであり、一部は検出不能だった。
■ これらのEIFのアレルゲン濃度は>3 logの範囲で変化し、より低いアレルゲンの累積量だった。
結論
■ 同じ食品を含むEIFにおいて、アレルゲン組成、濃度および1食あたりの投与量に大きなばらつきが観察された。
■ 潜在的にリスクのある乳児が生後早期に摂取するアレルゲンの用量は、EIFに依存していた。
■ 消費者と医療従事者がEIFについて十分な情報を得た上で決定できるように、また食物アレルギー予防のためのEIFの処方および標準化を改善するために、ガイドラインを制定するべきである。
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