原因となる食物を食べてから繰り返し吐く『新生児乳児食物蛋白胃腸症』、いつ頃改善する?
■ 新生児乳児食物蛋白胃腸症は、海外で提案される食物タンパク質誘発性腸炎症候群 (FPIES)と完全に同義とはいえませんが、IgE抗体が関係しない食物アレルギーです。
■ 主に乳児から幼児において、原因食物を食べた後1~4時間以内に、繰り返す嘔吐などを起こします。
■ 診断は臨床的に行われ、診断用のバイオマーカー、いわゆる血液検査などは良いものはないのが現状です。
■ 一方で、だんだん耐性を獲得する(食べられるようになる)こともわかっていますがデータは不足しています。
■ 新生児乳児食物蛋白胃腸症がいつ頃改善してくるか、最近このテーマに関し、スェーデンからの報告があります。
Ullberg J, Ullberg D, Fech-Bormann M, Fagerberg UL. Resolution of FPIES—a long-term follow-up study of 113 Swedish children. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2024.
スウェーデンの急性FPIES(日本では新生児乳児食物蛋白胃腸症にあたる)を発症した113人の小児が、いつ頃改善したかを検討した。
背景
■ 食物タンパク質誘発性腸炎症候群 (FPIES) は、非IgE(免疫グロブリンE)依存性アレルギーであり、主に乳児や幼児に発症する。
■ しかし、耐性がいつおこるか、またその耐性をどのように評価されるかは、集団や引き金となる食物によって異なるようである。
目的
■ 本研究の目的は、スウェーデンの集団における耐性の発達とその評価を調査することである。
方法
■ 本研究は、急性FPIESを有するスウェーデンの小児113人を対象とした前向き追跡研究である。
■ データは25の小児科部門で収集され、経口食物負荷試験(OFC)とFPIESの軽快に関するデータは、カルテレビューと不完全な場合には追加の保護者インタビューを通じて収集された。
結果
■ 最後のフォローアップ時の中央値年齢は5.6歳(範囲8.7ヶ月~16.5歳)だった。
■ 83人(73%)が137の食物のうち96(70%)に対して耐性を獲得した。
牛乳に対しては93%、オーツ麦に対しては92%、魚に対しては46%の耐性獲得率だった。
■ 耐性が発達した年齢の中央値は36.0ヶ月(四分位範囲23.7~48.2ヶ月)だった。
■ そして牛乳に対しては24.4ヶ月、オート麦に対しては30.1ヶ月、魚に対しては49.4ヶ月だった。
■ 耐性の45%は病院で確認された。
■ 患者の5%はFPIESの引き金となる食物に対してアレルギー感作を示した。
■ 耐性の年齢は、感作された患者と感作されていない患者の間で差はなかった。
結論
■ スウェーデンのこの集団におけるFPIESの大部分は、4歳前に耐性を獲得した。
■ 牛乳およびオーツ麦によるFPIESは早期に解決し、魚に対する耐性の発達は他の食物に比べて著しく遅いことが判明した。
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