ピーナッツ早期摂取で発揮されたアレルギー予防効果は、12歳まで維持されるのか?

1歳未満から5歳までピーナッツを摂取して予防できた児の予防効果は、12歳まで維持されるか?

■ 食物アレルギーの発症予防に関する、大きな転換点となった研究として、2015年に報告された英国で行われた640人に対するLEAP研究があります。

■ LEAP研究の結果から、生後5から10ヶ月にピーナッツを早期に開始することでピーナッツアレルギーの発症予防に大きな効果があることが分かり、その後、ピーナッツアレルギーの多い地域では離乳食ガイドラインが改訂されました。
■ 具体的には、離乳食に早い段階でピーナッツを導入することが推奨されるようになったのです。

■ その後、LEAP研究に参加した人に対しLEAP-ON研究が行われました。生後5から10ヶ月の子供に早期にピーナッツを導入し5歳時点でのピーナッツアレルギーの発症予防に成功したわけですが、その参加者すべてに1年間ピーナッツを中止して観察することでピーナッツアレルギーの再発がないことを確認したのです。

■ すると、ほとんど再燃がないことがわかり、ピーナッツを早めに導入することが長期的な効果を持つという認識がでてきました。

■ では、さらに長期に見るとどうなるでしょう?
■ 最近、思春期までフォローした検討が報告されています。

(今の私の環境だと、来月にならないと全文が読めないみたいなので抄録のみですが、重要な検討と思い共有いたします)

Toit GD, Huffaker MF, Radulovic S, Feeney M, Fisher HR, Byron M, et al. Follow-up to Adolescence after Early Peanut Introduction for Allergy Prevention. NEJM Evidence 2024; 3:EVIDoa2300311.

LEAP試験に参加した640人のうち、主要評価項目のデータのある497人を検討した。

背景

■ 無作為化試験により、乳児期から5歳までピーナッツを摂取することでピーナッツアレルギーの発症が予防されることが示された。
■ この試験の延長試験では、1年間ピーナッツを摂取しない生活を続けた後もその効果が持続することが示された。
■ この追跡試験では、何年もピーナッツを自由に摂取した後、144か月経過した時点でのピーナッツ耐性の持続性が調べられた。

方法

■ ランダムにピーナッツを摂取する試験に参加した被験者は、ピーナッツを好きなだけ食べたり避けたりする期間を延長した後、ピーナッツアレルギーの有無を評価された。
■ 主要評価項目は、144か月時点でのピーナッツアレルギーの発症率だった。

結果

■ 当初の参加者640人のうち508人(79.4%)が登録され、497人の主要評価項目データが完全であった。
■ 144か月齢時点で、ピーナッツを摂取した群よりもピーナッツを避けた群の方が、ピーナッツアレルギーの発症率が有意に高かった(15.4%(246人中38人) vs. 4.4%(251人中11人); P<0.001)。
■ 両群の参加者は、72か月から144か月の間、長期間にわたってピーナッツを避けていたと報告した。
■ ピーナッツ摂取群の144ヶ月目の参加者は、アナフィラキシーと関連のあるピーナッツアレルゲンであるAra h2特異的免疫グロブリンE抗体価が0.03 ± 3.42 kU/l、ピーナッツ特異的免疫グロブリンG4抗体価が535.5 ± 4だった。
■ 一方、ピーナッツ除去群の被験者の Ara h2 特異的免疫グロブリン E 抗体価は 0.06 ± 11.21 kU/l、ピーナッツ特異的免疫グロブリン G4 抗体価は 209.3 ± 3.84 μg/lだった。
■ 有害事象はまれで、その大半は食物負荷試験に関連していた。

結論

■ 乳児期から5歳までピーナッツを摂取することで、その後のピーナッツ摂取の有無に関わらず、思春期までピーナッツに対する持続的な耐性が得られ、食物アレルギーにおいて長期的な予防と耐性が達成できることが示された。

(米国国立アレルギー・感染症研究所およびその他からの資金提供。ITN070AD、ClinicalTrials.gov番号、NCT03546413)

 

 

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