蕁麻疹に対し、ロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレアなど)の追加は有効か?

蕁麻疹が6週間以上続くと慢性とされ、治療にロイコトリエン拮抗薬が使われることがあります。その効果について最近メタアナリシスが報告されました。

■ 蕁麻疹の多くは6週間未満におさまり、急性蕁麻疹に分類されます。
 6週間以上持続するものは慢性と分類され、有病率は、アジアでは1.4%あるという報告があります。

■ ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎に有効ですが、慢性蕁麻疹の治療にも(保険適用はありませんが)使用されています。

■ 特に、標準治療である抗ヒスタミン薬で十分効果がない場合に追加治療として考慮されます。

■ しかし、その有効性のエビデンスをまとめたメタアナリシスは不足していました。
■ そのような背景のなか、最近、このテーマにおけるメタアナリシスが、最近の米国免疫アレルギー学会雑誌に報告されていました。

Rayner DG, Liu M, Chu AWL, Chu X, Guyatt GH, Oykhman P, et al. Leukotriene receptor antagonists as add-on therapy to antihistamines for urticaria: Systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Journal of Allergy and Clinical Immunology.

小児および成人3324名を対象とした34のランダム化比較試験(RCT)において、抗ヒスタミン薬(AH)のみの治療と、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を追加した治療を比較した。

背景

■ じんましん(かゆみ、じんましん、血管性浮腫)の治療に、抗ヒスタミン薬(AH)に抗ロイコトリエン薬を併用することのメリットとデメリットは依然として不明である。

目的

■ 急性および慢性蕁麻疹に対する抗ロイコトリエン薬と抗ヒスタミン薬との併用療法と抗ヒスタミン薬単独療法の治療成績を系統的に統合することを目的とした。

方法

■ 米国アレルギー喘息免疫学会(AAAAI)と米国アレルギー喘息免疫学会(ACAAI)の蕁麻疹診療ガイドラインの更新の一環として、Medline、Embase、Central、LILACS、WPRIM、IBECS、ICTRP、CBM、CNKI、 VIP、Wanfang、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁のデータベースを立ち上げから2023年12月18日まで検索し、じんましん患者を対象とした抗ロイコトリエン薬とAHの併用療法とAH単独療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を抽出した。
■ 2人の査読者が、引用文献のスクリーニング、データの抽出、バイアスリスク評価を独立して行った。
■ ランダム効果モデルにより、じんましんの活動性、かゆみ、膨疹、睡眠、生活の質、有害事象に関する効果推定値が統合された。
■ GRADEアプローチにより、エビデンス評価の確実性が示された。
■ この研究はOpen Science Frameworkに登録されている。

結果

■ RCT34件(3324人)の小児および成人が登録された。

■ AH単独療法と比較して、ロイコトリエン受容体拮抗薬とAHの併用療法は、蕁麻疹活動(平均差 25.04; 95%信頼区間 26.36から23.71; 7日間の蕁麻疹活動スコア)を中程度の確実性でわずかに減少させることが示された。

■ かゆみ、じんま疹の重症度、生活の質についても同様の結果が得られた。
■ 有害事象については、両群間に差はない可能性が高かった(確実性:中程度)。
■ しかし、神経精神系の有害事象について報告したRCTはなかった。

結論

■ 蕁麻疹患者において、AH にロイコトリエン受容体拮抗薬を併用することで、蕁麻疹の活動性はわずかに改善し、全体的な有害事象の増加はほとんどないと思われる。
■ この集団におけるロイコトリエン受容体拮抗薬による神経精神系有害事象のリスクの増加は小さく、不確実である。

 

 

※論文の背景や内容の深掘り、個人的な感想は、noteメンバーシップにまとめました。

※登録無料のニュースレター(メールマガジン)も始めています。5000人以上の登録ありがとうございます。

 

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモを記録しているものですので、細かい誤字脱字はご容赦ください。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。

知識の共有を目的に公開しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう