子どもによく見られる伝染性軟属腫(みずいぼ)とアトピー性皮膚炎の関連性を調べると?
■ 伝染性軟属腫(MC)(みずいぼ)は小児によく見られるウイルス感染症です。
■ 伝染性軟属腫は皮膚のバリア機能の低下した部位から侵入するため、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のある人に多く見られます。
■ 伝染性軟属腫患者で伝染性軟属腫病変数が多いことや、伝染性軟属腫の有病率が高いことが報告されています。
■ そして最近の研究でも、アトピー性皮膚炎患者で伝染性軟属腫のリスクが高いことが確認されています。
■ 伝染性軟属腫とアトピー性皮膚炎の関連性を理解することは、ふたつの疾患を併発しているケアを改善するために重要です。
■ 最近、伝染性軟属腫患者のうちアトピー性皮膚炎を併発している群と併発していない群を比較した研究が公開されていました。
Andre N, Alyagon A, Jurban E, Moscovici K, Horev A. Does Molluscum Contagiosum Need to be Managed Differently in Atopic Children? Acta Dermato-Venereologica 2024; 104.
2013年から2022年に、ソロカ大学医療センターの小児皮膚科クリニックで伝染性軟属腫と診断された0〜18歳の615人の子どもを対象に、アトピー性皮膚炎の有無による比較を後ろ向きに行った。
背景
■ 伝染性軟属腫に併発しているアトピー性皮膚炎との関連性、臨床的特徴と治療結果への影響については、未だ不明確である。
目的
■ この後ろ向き研究は、三次医療センターの小児皮膚科クリニックで実施され、伝染性軟属腫患者のうち、アトピー性皮膚炎のある群とない群を比較することを目的とした。
結果
■ 伝染性軟属腫を有する615人の小児が対象となり、そのうち13.17%がアトピー性皮膚炎を併発していた。
■ アトピー性皮膚炎を併発している群では、病変数と痒みが有意に高かった(それぞれp=0.026とp=0.044)。
■ しかし、病変の平均径、潰瘍形成、化膿、紅斑については有意差は認められなかった(それぞれp=0.239、p=0.730、p=0.682、p=0.296)。
■ 両群とも、伝染性軟属腫に特異的な治療と支持療法に対する反応は同等であり、治療結果や再診率に明確な差は見られなかった。
結論
■ アトピー性皮膚炎は伝染性軟属腫の罹患率、炎症マーカー、治療結果、再発率を悪化させないと結論づけられた。
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