今後、日本でも使用できるようになる可能性のあるアナフィラキシー治療用の鼻スプレー型エピネフリン(アドレナリン)は、風邪をひいていても効果はあるでしょうか?
■ エピネフリン(アドレナリン)はアナフィラキシー時に第一選択薬として使用する薬剤であり、現在はアドレナリン自己注射薬(エピペン)が最も一般的な使用方法になります。
■ しかし、注射であるエピペンは、心理的にも壁があり、なかなか実施できないことがあることもあります。
■ このような背景から、針を使わない新しい投与方法の開発が求められていました。
■ そこで、ARS Pharmaceuticals社(カリフォルニア州サンディエゴ)が開発したneffyという鼻腔内エピネフリン投与デバイスが注目されています。
■ 最近、日本でも臨床試験がおこなわれ、もしかすると実臨床に応用される可能性が高まってきました。
■ 薬物動態的にも、エピペンなどに劣らない(もしくは、良い可能性もある)とされています。
■ しかし、エピペンは緊急時の薬剤でもあり、さまざまな『一般的な状態ではない場合』にも有効性が維持されるかが懸念されます。
■ たとえば、風邪(上気道感染症)のときなどです。
■ そこで最近、風邪の状態と通常の状態でのneffy の有効性評価が行われました。
Oppenheimer J, Casale TB, Camargo CA, Fleischer DM, Bernstein D, Lowenthal R, et al. Upper respiratory tract infections have minimal impact on neffy’s pharmacokinetics or pharmacodynamics. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2024.
上気道感染症(URTIs)症状を有する成人21名(19〜55歳)を対象に、URTI時と回復後の正常である鼻腔状態時にneffy 2.0 mgを単回投与し、薬物動態(PK)と薬力学(PD)を評価する2期間におけるクロスオーバー試験を実施した。
※短報ですので、要約のみ示します。
✅️投与後のエピネフリン(アドレナリン)平均濃度の経時変化は、URTIと正常な鼻腔状態で同様であり、統計的な有意差は見られなかった。
✅️薬力学的効果(収縮期血圧と心拍数の変化)も、URTIと正常状態で同様であり、最大効果(Emax)や効果曲線下面積に有意な差は認められなかった。
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