アトピー性皮膚炎があると、水いぼは5倍に、とびひは3倍にリスクが増加する

アトピー性皮膚炎患者の感染症リスク増加を、新たな統計手法「順序パターンマイニング」を用いて分析した研究が報告された。

■ アトピー性皮膚炎は、非常に多い慢性炎症性皮膚疾患です。
■ アトピー性皮膚炎があると、感染症にもかかりやすくなることが知られています。

■ その感染症の増加がどれくらいであるかを推定する必要性があります。
■ しかし最近、順序パターンマイニング(SPM)を用いた方法で推測した研究結果がありました。

■ なお、SPMは、「何かが起こった後に、別の何かが起こる」というパターンを探す統計手法だそうです。
■ すなわちこの研究では、「アトピー性皮膚炎と診断された後、どのくらいの期間で特定の皮膚感染症が発症するか」というパターンを探しているということになります。

■ では、どれくらい感染症のリスクが高まったでしょうか?また、アトピーの診断があってからどれくらいで皮膚感染症を起こすのでしょうか

Han J-H, Yoon J-W, Yook H-J, Bang C-H, Chun J-H, Lee J-Y, et al. Evaluation of atopic dermatitis and cutaneous infectious disorders using sequential pattern mining: a nationwide population-based cohort study. Journal of Clinical Medicine 2022; 11:3422.

韓国の国民健康保険データベースから抽出した1,062,018人のうち70,205人のアトピー性皮膚炎(AD)患者を対象に、2010年から2013年に順序パターンマイニング(SPM)を用いて皮膚感染症との関連を分析した。

背景

■ 先行研究によると、アトピー性皮膚炎(AD)患者における皮膚感染症リスクの増加は、表皮機能障害、異常な全身免疫機能、抗菌ペプチドの低下と関連している。

目的

■ 本研究では、順序パターンマイニング(SPM)を用いて実世界におけるADと皮膚感染症の関連を分析した。

結果

■ 2010年から2013年の国民健康保険データをSPMを用いて分析し、合併する皮膚感染症と合併症の発症期間を特定した。

■ AD患者は、伝染性軟属腫(調整オッズ比 [aOR] 5.273)、膿痂疹(aOR 2.852)、水痘(aOR 2.251)、中耳炎(aOR 1.748)、湿疹性ヘルペス(aOR 1.292)、ウイルス性疣贅(aOR 1.105)のリスクが高かった。

■ SPM分析では、伝染性軟属腫の1.06%の合併率が最も高い値を示し、77.42日という伝染性軟属腫の期間が全ての関連規則の中で最短の発症期間であった。

結論

■ 本研究は、ADが皮膚感染症リスクの増加と関連していることを示唆している。
■ 特に、膿痂疹、伝染性軟属腫、中耳炎との高い関連性に注意を払う必要があり、これらは適切な予防と管理を通じてADの悪化を防ぐのに役立つ可能性がある。

 

 

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