小児のアレルギー性鼻炎、特に通年性の増加が報告され、最新の研究では、より低年齢での発症の可能性も示唆されています。
■ 世界的にもアレルギー性鼻炎は増加傾向にあるのですが、近年、特に小児での増加が複数の疫学研究で報告されています。
■ 日本では主にダニとスギ花粉がアレルギー性鼻炎の主要なアレルゲンとなっており、特にダニを主な原因とした通年性アレルギー性鼻炎は子どもたちの生活に大きな影響を与えます。
■ そして最近の日本の調査では、10代の通年性アレルギー性鼻炎の有病率が38.5%にも達していることが報告されています。
■ 通年性アレルギー性鼻炎は長期的に症状が続き、睡眠や学業といった生活の質に大きく影響します。
■ 最近の研究では、アレルギー性鼻炎が従来考えられていたよりも若い年齢で発症する可能性が示されています。
■ しかし小さな子どもでは、症状や鼻腔所見を正確に解釈することが成人よりも難しいことがあり、アレルギー性鼻炎の有病率に関する研究結果を明らかにすることは簡単ではありません。
■ そういった背景の中、鼻腔の好酸球がアレルギー性炎症を反映し、診断に有用だと考えられています。
■ そして最近、千葉で実施されているコホート研究で、小児のアレルギー性鼻炎、特に通年性アレルギー性鼻炎の発症率などが報告されました。
Yonekura S, Okamoto Y, Yamaide F, Nakano T, Hirano K, Funakoshi U, et al. Factors contributing to the diagnosis and onset prediction of perennial allergic rhinitis in high-risk children: A sub-analysis of the CHIBA study. Allergology International 2024; 73:436-44.
アレルギーの家族歴を持つ新生児306人を対象に、1歳、2歳、5歳時に耳鼻咽喉科医と小児アレルギー専門医による診察を行い、通年性アレルギー性鼻炎の診断および予測因子を検討した。
背景
■ この研究は、アレルギーの家族歴を持つ新生児を対象とした千葉ハイリスク出生コホートアレルギー研究(CHIBA研究)の結果を分析し、小児における通年性アレルギー性鼻炎(PAR)の診断および予測因子を明らかにすることを目的とした。
方法
■ 計306人の妊婦が登録された。
■ 彼らの新生児は、1歳、2歳、5歳時に耳鼻咽喉科医と小児アレルギー専門医により診察された。
■ すべての受診時点で臨床および検査データが入手可能な参加者を適格とみなした。
結果
■ 187人の適格参加者のうち、PARの有病率は1歳、2歳、5歳時にそれぞれ2.1%、4.3%、24.1%であった。
■ 1歳および2歳児のPAR患者の大多数が、ARに特異的な鼻局所所見や鼻腔ぬぐい液中の好酸球が観察された。
■ 5歳時のPAR発症と関連する2歳までの因子は、重要度の高い順に以下の通りであった。
■ すなわち、 ハウスダストマイト(HDM)感作、鼻粘膜好酸球増多、ネコ皮屑感作である。
■ HDM感作のある44例において、2歳までの鼻粘膜好酸球増多は5歳時のPAR発症予測に対して76.0%の感度と73.7%の特異度だった。
結論
■ 鼻炎所見と鼻粘膜好酸球増多は、小児PARの補助的診断項目として有用である。
■ HDM感作と鼻粘膜好酸球増多が将来のPAR発症と最も関連する影響力のある因子であった。
■ これらの因子の組み合わせがPAR発症の予測を容易にする可能性がある。
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