アトピー性皮膚炎は生活の質や認知機能に影響を与える可能性がある。
■ アトピー性皮膚炎は、もっとも多い炎症性皮膚疾患です。
■ しかも、痒みは重症になると、睡眠の質や日常生活を下げます。
■ これは行動の問題や認知機能の低下、そして成績低下にもつながる可能性があります。
■ 最近、病院で管理された小児アトピー性皮膚炎と、前期中等教育や後期中等教育の卒業平均点、特別教育支援の必要性、さらには兵役評価時のIQまで、幅広く調査した研究が報告されていました。
Vittrup I, Andersen YMF, Skov L, Wu JJ, Agner T, Thomsen SF, et al. The association between atopic dermatitis, cognitive function and school performance in children and young adults. Br J Dermatol 2023; 188:341-9.
2001年から2019年にデンマークの国民登録データをリンクし、前期中等教育の卒業成績が登録されている児童(集団1、770,611人)、後期中等教育の卒業平均点が登録されている青年(集団2、394,193人)、IQテストスコアが登録されている男性徴兵対象者(集団3、366,182人)を対象とした横断研究を実施した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(AD)の小児は、睡眠障害、自尊心の低下、生活の質の低下につながる可能性があり、これらが学校での成績に影響を与える可能性がある。
目的
■ 病院で管理された小児のAD、学業成績、認知機能の関連を調査する。
■ この横断研究では、2001年から2019年の間にデンマークの国民登録データをリンクし、3つの集団を特定した。
■ 集団1は前期中等教育の卒業成績が登録されている児童、集団2は後期中等教育の卒業平均点が登録されている青年、集団3はIQテストスコアが登録されている男性徴兵対象者で構成された。
■ ADは試験日または徴兵日前の病院診断コード(入院または外来)として定義され、重症度、活動性、アトピー性併存疾患に応じて層別化された。
■ アウトカムには、前期および後期中等教育の卒業平均点、初等および前期中等教育における特別教育支援、徴兵時のIQが含まれた。
結果
■ 集団1(前期中等教育卒業)、2(後期中等教育卒業)、3(徴兵)にそれぞれ770,611人(ADを有する12,137人)、394,193人(ADを有する6,261人)、366,182人(ADを有する4,539人)の児童および青年が含まれた。
■ 前期中等教育では、重症ADのある児童は軽症ADのある児童と比較して、全体、筆記、口頭の卒業平均点が有意に低かった。
■ すなわち、それぞれ差 -0.29 [95%信頼区間(CI) -0.45から-0.13, P < 0.001]、差 -0.26 (95% CI -0.42から-0.10, P = 0.0016)、差 -0.30 (95% CI -0.49から-0.11, P = 0.0018)。
■ 後期中等教育では、ADのある青年はADのない同年齢の者と同様の成績だった。
■ ADのある若い男性は、徴兵試験においてADのない男性徴兵対象者と比較して、有意に低いIQテスト平均点を示した:差 -0.60 (95% CI -0.87から-0.32, P < 0.001)。
結論
■ ADは、特に重度の場合、小児期の学業成績と若い男性のIQの低下と関連しており、これは人生における学業達成に影響を与える可能性がある。
■ ADのある児童の治療の最適化と重症ADのある児童への特別な教育支援が必要かもしれない。
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