生後3ヶ月以上の乳児のアトピー性皮膚炎に対するジファミラスト軟膏の治療効果:第3相臨床試験の中間報告

生後3ヶ月から使用できるようになったアトピー性皮膚炎治療薬ジファミラストの治療効果が、中間報告として公開されました。

■ アトピー性皮膚炎は、多くの人が悩む皮膚の病気です。
■ 特徴的な症状は、かゆみと湿疹で、これらの症状により睡眠障害や生活の質の低下、さらにさまざまな合併症やリスクを引き起こすことが報告されています。

■ 日本での治療は、薬による治療、保湿ケア、症状を悪化させる原因を避けることの3つが基本となっています。
■ しかし、2歳未満の赤ちゃんの治療では、使える薬が限られていました。
■ 最近、生後6ヶ月からのデルゴシチニブ(コレクチム)、生後3ヶ月からのジファミラスト(モイゼルト)が使用できるようになりました。

■ しかし、デルゴシチニブは生後6ヶ月からの臨床試験報告がなされたものの、ジファミラストに関しては公開が遅れているようです。

■ そのようななか、生後3-24ヶ月の乳児におけるジファミラストの中間報告が公開されていました。

Saeki H, Ohya Y, Baba N, Imamura T, Yokota D, Tsubouchi H. An Interim Report of a Phase 3, Long-Term, Open-Label Study to Evaluate Efficacy and Safety of Difamilast Ointment in Japanese Infants with Atopic Dermatitis. Dermatology and Therapy 2024; 14:2443-55.

IGAスコアが2または3で、頭皮を除く体表面積の5-40%がアトピー性皮膚炎の症状を有する3〜24ヶ月未満の日本人乳児41名に対し、0.3%ジファミラスト軟膏を1日2回4週間塗布し、その後48週間は症状に応じて0.3%または1%軟膏を使用する介入を行った。

緒言

■ ジファミラストは、日本で承認された最初の選択的ホスホジエステラーゼ4阻害薬である。
■ 3〜24ヶ月未満の乳児におけるジファミラスト軟膏の臨床試験が実施されていなかったため、この年齢層のアトピー性皮膚炎患者における有効性と安全性を確立するための第3相52週間非盲検試験が進行中である。

方法

■ この試験は、3〜24ヶ月未満の日本人乳児(n=41)にジファミラスト0.3%軟膏を1日2回塗布する4週間の主要評価期間と、既存症状に基づいてジファミラスト0.3%または1%軟膏を塗布する48週間の長期継続期間で構成された。
■ ジファミラストの有効性と安全性のデータは、試験期間中の中間報告として得られた。

結果

■ IGA(医師による全般改善度)スコアのレスポンス率は1週目で45.0%であり、4週目で56.1%、中間報告時で63.4%と維持された。

■ 乳児はEASI 75(75%以上の改善)のレスポンス率を1週目で47.5%達成し、4週目で82.9%、中間報告時で78.1%とさらに改善した。

■ 主要評価期間中、有害事象は22例(53.7%)の乳児で報告され、最も頻度の高い有害事象は鼻咽頭炎(19.5%)、次いで接触性皮膚炎(7.3%)であった。
■ 中間報告時点で、36例(87.8%)の乳児が有害事象を経験し、そのうち最も頻繁に観察されたのは鼻咽頭炎(70.7%)と胃腸炎(22.0%)だった。
■ 全有害事象の大半は軽度または中等度の重症度だった。
■ 治験薬に関連する有害事象および投与中止に至る有害事象は報告されなかった。

結論

■ アトピー性皮膚炎を有する3〜24ヶ月未満の日本人乳児に1日2回塗布したジファミラスト軟膏は、試験期間中の中間報告時点で有効性と忍容性が確認された。
■ 最終結果は近い将来に報告される予定である。

 

 

論文のまとめ

✅️乳児のEASI 75(症状が75%以上改善)の達成率は、1週目で47.5%、4週目で82.9%、中間報告時で78.1%と高い改善効果を示した。
【簡単な解説】 赤ちゃんの皮膚の症状が4分の3以上良くなった人の割合が、4週間後には82.9%と多くの赤ちゃんで効果が見られた。

✅️ 有害事象は中間報告時点で36例(87.8%)に認められ、最も多かったのは鼻咽頭炎(70.7%)と胃腸炎(22.0%)であったが、その大半は軽度または中等度であり、治験薬との関連性は認められなかった。
【簡単な解説】 副作用として多くの赤ちゃんが風邪のような症状や胃腸の不調を経験したが、これらは軟膏が原因ではなく、軽い症状であった。

 

 

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