「アレルギー反応があったかも」と判断された赤ちゃんでも、専門医の管理下で適切に評価すれば、ピーナッツを安全に食べられる可能性が高まるか?
■ 2015年のLEAP試験は、アトピー性皮膚炎のある乳児にピーナッツアレルギーの発症予防をどうするか、はじめて早期離乳食開始が有効であることを示しました。
■ LEAP試験は、生後4ヶ月~11ヶ月の乳児に対し、重症のアトピー性皮膚炎、卵アレルギー、またはその両方を持つ640人を対象とした無作為化比較試験です。
■ 参加者を2つのグループに分け、一方には定期的にピーナッツを摂取させ、もう一方にはピーナッツを摂取させないようにしました。
そして、5歳になった時点でピーナッツアレルギーを発症しているかどうかを調べました。
■ 結果として、ピーナッツを摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べて、ピーナッツアレルギーの発症率が大幅に低かったのです(80%リスク減少)。
■ しかし、LEAP試験では自宅でピーナッツを誤食したときにアレルギー反応があったり、強い感作(皮膚プリックテスト>4mm)を示した小児は除外されていました。
■ LEAP試験で除外された強い感作(>4mm)を示した76名の乳児は、ピーナッツ回避を指導され、5歳時点で78%が食物経口負荷試験で確定したピーナッツアレルギーとなっています。
■ 皮膚プリックテスト>4mmの小児に対し、乳児期からの食物経口負荷試験の恩恵を受けられるか、また自宅での反応後の最適な診断については不明でした。
■ このような子どもに対しての検討が行われました。
※この研究は重要な知見を含みますが、一般的に「病歴があきらかな」食物の導入は、専門医の判断が必要です。自己判断はリスクが高いです。
Verhoeven DHJ, Benjamin-van Aalst O, Klok T, de Weger WW, Breukels M, Hendriks T, et al. Successful Introduction of Peanut in Sensitized Infants With Reported Reactions at Home. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice.
オランダの6つの小児アレルギー専門施設において、自宅でピーナッツに反応を示した186人の乳児(平均月齢8ヶ月)に対し、ピーナッツのプリックテストと監視下での経口負荷試験を実施した。
背景と目的
■ 過去の研究により、早期のピーナッツ摂取がピーナッツアレルギーを予防できることが示されている。
■ しかし、早期導入後に自宅でピーナッツに反応を示した場合の最適な診断経路は現在不明である。
方法
■ PeanutNL コホート研究では、ピーナッツの早期導入のために紹介されたハイリスク乳児を対象とした。
■ 自宅でピーナッツに反応を示した186人の乳児のサブグループに対し、生後中央値8ヶ月時にピーナッツのプリックテストと監視下での経口負荷試験(OFC)を実施した。
■ 負荷試験が陰性であった場合、自宅でピーナッツを導入した。
結果
■ 186人の乳児のうち69%にピーナッツの感作が検出され、そのうち80%がプリックテストで4mm以上の膨疹を示した。
■ 自宅でSampson重症度スコアグレードI-IIIの反応を示した163人の乳児に対し、累積4.4gのピーナッツタンパク質による経口負荷試験を実施し、120件が陰性だった。
■ 負荷試験陰性の乳児では、その後自宅でピーナッツを導入した。
■ 6ヶ月後、96%が依然としてピーナッツを摂取しており、81%が1回の摂取で3.0gのピーナッツタンパクを摂取していた。
■ 自宅でのピーナッツ再導入後、1人がピーナッツアレルギーと判断された。
結論
■ このデータは、自宅でピーナッツに反応を示した乳児の65%が経口負荷試験で陰性であることを示している。
■ これらの子どもたちでは、ピーナッツを安全に導入でき、96%が定期的に反応なく摂取可能だった。
■ 生後12ヶ月未満の乳児に負荷試験を実施することで、ピーナッツアレルギーの誤診を防ぎ、ピーナッツへの安全な継続的曝露と長期的な耐性獲得を可能にする。
論文のまとめ
✅️ 186人中129人(69%)がピーナッツへの感作を示し、そのうち103人(80%)が4mm以上の強い皮膚反応を示した。
【簡単な解説】アレルギー検査で、多くの赤ちゃんの皮膚が強くピーナッツに反応しましたが、これは必ずしも本当のアレルギーとは限りません。
✅️ 経口負荷試験を受けた163人中120人(74%)が陰性で、その後の6ヶ月間の経過観察で96%が問題なくピーナッツを摂取継続できた。
【簡単な解説】実際に少しずつピーナッツを食べる検査をしたところ、多くの赤ちゃんが安全に食べられることがわかり、その後も継続して食べることができました。
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