食物アレルギーがあると、慢性蕁麻疹を起こしやすくなるのか?

食物アレルギーと慢性じんましんの関連に関する、メタアナリシスが実施されました。

■ 慢性特発性じんましんは、6週間以上続くじんましんや血管性浮腫が繰り返し起こる病気です。
■ 症状が予測しにくく、患者さんの生活の質に大きな影響を与えます。
■ そして慢性じんましんは、発症後1、3、5年後の寛解率は、それぞれ18.5%、54%、67.7%だったとされています。長く続くということです。

■ アトピー性皮膚炎のあるひとに慢性じんましんがおこりやすいという研究もあり、食物アレルギーが基礎疾患としてある可能性もあります。

■ そこで、食物アレルギーと慢性じんましんの関連に関し、メタアナリシスが実施されました。

Alotaibi HM, Alghamdi AS, Almutairi RT, Altamimi Rm, osailan R. The prevelance of food allergy in patients with chronic idiopathic urticaria: a systematic review and meta-analysis. Archives of Dermatological Research. 2024;317:132.

医学文献データベースから抽出された7つの研究論文に含まれる蕁麻疹患者1551名(年齢8.4~40.26歳、男性208名、女性378名)を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。

背景

■ 慢性特発性蕁麻疹(CIU)は、その慢性的で予測不可能な性質により、患者と医療従事者にとって管理が困難な疾患である。
■ CIUの正確な原因は不明であるが、食物アレルギーが症状の発現に関与している可能性が示唆されている。

目的

■ CIUと診断された患者における食物アレルギーの有病率を明らかにすることである。

方法

■ 本システマティックレビューはPRISMAガイドラインに従って報告される。
■ Scopus、Midline、Web of Scienceにおいて、創刊から2023年4月までに公開された関連論文を対象とした。

結果

■ 最初の検索で282の論文が抽出され、包含基準と除外基準を適用後、7論文が選定された。
■ システマティックレビューには蕁麻疹患者1551名が含まれた。

■ 食物アレルギーを持つ患者の約25%がCIUを持っていた。

■ アトピー家族歴の有病率は37.9%(範囲24.3-53.8%、P=0.133)であった。
■ 蕁麻疹患者における血管性浮腫のリスクは有意であった(P=0.039)。
■ 蕁麻疹患者における食物アレルギーを持つ患者のCIUリスクは4人に1人と推定され、成人と小児で同様のリスクだった。

結論

■ 食物アレルギーとアトピー歴を持つ患者はCIUのリスクが高い。
■ 血管性浮腫は一般的な蕁麻疹に伴う併存症状である。
■ この知見は、蕁麻疹のリスクが高い患者を特定し、潜在的な合併症を最小限に抑え、疾患をコントロールするために必要な管理を実施する上で重要である。

 

 

論文のまとめ

✅️蕁麻疹患者1551名のうち268名(24.9%)に食物アレルギーが認められ、この割合は成人(25.4%)と小児(24.1%)でほぼ同等であることが示された。
【簡単な解説】 じんましんのある人の約4分の1が食物アレルギーを持っていることがわかりました。この傾向は大人でも子どもでもほぼ同じでした。

✅️食物アレルギーを持つ蕁麻疹患者1023名のうち、約4人に1人(26.9%)が血管性浮腫を合併しており、この発生率は統計学的に有意であった(P=0.039)。
【簡単な解説】 食物アレルギーとじんましんの両方がある人のうち、約4人に1人で血管性浮腫も出ることがわかりました。

 

 

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