熱性けいれんは、何時頃に多い?

熱性けいれんは、どの時間帯に多いのか?

■ 熱性けいれん(熱性発作)は、生後6か月から6歳くらいまでの幼い子どもに多く見られるけいれん発作の一種です。
■ アメリカやヨーロッパでは2~5%、日本やグアムでは10~14%と報告されていて、国や地域で差があります。
■ ほとんどは発熱後24時間以内に起こり、ウイルスや細菌の感染などがきっかけになることがあります。

■ 代表的なのが「単純型熱性けいれん」で、1回のけいれんが15分以内で終わるタイプです。15分以上続くけいれんや、24時間以内に繰り返すけいれんなどが、「複雑型熱性けいれん」になります。
■ 熱性けいれんは、睡眠の段階や一日の時間帯に関連があることが多数の研究で示されています。

■ では、どの時間帯にもっとも熱性けいれんを起こしやすいのでしょうか?

Smolensky MH, Shah AP, Fernández JR, Sackett-Lundeen L, Hermida RC. Twenty‐four hour pattern of childhood febrile seizures substantiated by time series meta‐analysis: Circadian medicine perspectives. Epilepsia 2023; 64:1739 - 49.

Iran、日本、Finland、Italy、South Koreaの8つの研究において、平均年齢2歳の小児2461例(主に単純型熱性けいれん)を対象とし、発作時刻データを用いた時系列メタ解析を実施した。

目的

■ 本研究の主な目的は、(1) 過去に報告された発症時刻データを用いた新たな時系列メタ解析によって小児熱性けいれん(CFSs)の24時間パターンを立証すること、(2) その概日リズムへの依存性について考察することである。

方法

■ 包括的に文献を検索し、選択基準を満たす8報の論文を抽出した。
■ Iranで3件、日本で2件、Finland、Italy、South Koreaでそれぞれ1件ずつ実施され、合計2461例の小児熱性けいれん(主に単純型)が対象となり、対象児の平均年齢は約2歳であった。

結果

■ 集団平均コサイナー解析により、CFSs発症には24時間リズムが存在することがp < .001で検証された。
■ これは、平均体温に有意な日内変動が認められなかったにもかかわらず、発作のピークである18:04(95%信頼区間: 16:40~19:07)と谷である06:00のあいだで、小児が発作を起こす割合に約4倍の差が生じたことによる。

考察

■ CFSsの発症時間帯パターンは、複数の概日リズムの作用による可能性が高く、とりわけ発熱性炎症経路を構成するサイトカインや、中枢神経の興奮レベルに影響を及ぼし体温調節にも関与するメラトニンの関与が示唆される。
■ 過去の動物実験や患者を対象とした研究では、同程度の刺激によって誘発される発作の脆弱性は24時間のうち一定のリズムで変動し、すなわち概日的な感受性・抵抗性のリズムとして時間的に予測可能な形で異なることが示されている。

結論

■ CFSsの時間帯リスクに著しい差があることを把握することで、特にリスクが最も高い夕方から夜の早い時間帯に予防的介入を適切なタイミングで行い、発作をより効果的に防止できる可能性がある。

 

 

論文のまとめ

✅️ 熱性けいれんの発症には24時間リズムが存在することが統計学的に証明され(p < .001)、18時04分にピークを迎えることが判明した。
【簡単な解説】 1日の中で熱性けいれんが起きやすい時間帯があり、特に夕方6時ごろが最も多いことがわかった。

✅️ 発作が最も多く見られる18時04分と最も少ない6時00分を比較すると、発作を起こす割合に約4倍の差が認められた。
【簡単な解説】 夕方6時ごろは朝6時ごろと比べて、熱性けいれんが4倍も起きやすいということがわかった。

 

 

※論文の背景や内容の深掘り、個人的な感想は、noteメンバーシップにまとめました。

※登録無料のニュースレター(メールマガジン)は、一部有料会員向けも始めていますが、定期的に無料記事も公開予定です。さまざまなテーマを深堀り解説していきますので、ご興味がございましたらリンクからご登録ください。

 

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモを記録しているものですので、細かい誤字脱字はご容赦ください。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。

知識の共有を目的に公開しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう