
アトピー性皮膚炎の症状を改善させるデュピルマブ。皮膚バリア機能をどれくらい改善させる?
■ アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症を起こす非常に多い皮膚の病気です。
■ この病気は、かゆみや湿疹、乾燥などの症状があり、患者や家族に大きな影響を与えます。
■ 皮膚にはそもそも、外部からの刺激を防ぐバリア機能があり、アトピー性皮膚炎ではこの機能がうまく働かなくなっています。
■ 現在、皮膚バリアの状態は、経皮水分蒸散量(TEWL)などの非侵襲的な方法で簡単に測ることができます。
■ TEWLとは皮膚から逃げていく水分量のことですから、高いほどバリア機能が低いということです。
■ 皮膚バリア機能の指標としては、他には 角層水分量があり、やはりアトピー性皮膚炎の重症度と相関しています。
■ 角層の水分量が低下すると、皮膚の乾燥やかゆみが悪化し、炎症が引き起こされることになります。
■ すなわち、アトピー性皮膚炎が重い人ほど、皮膚からの水分の蒸発量(TEWL)が高く、皮膚の水分量(SCH)が低いということです。
■ デュピルマブは、アトピー性皮膚炎が悪化するときに上がるサイトカイン(IL4-IL-13)をブロックし炎症を抑える効果があり、患者の症状を改善することが示されています。
■ では、デュピルマブがどのように皮膚のバリア機能を改善するのでしょうか?最近のシステマティックレビューを確認してみました。
Montero-Vilchez T, Sanabria-de-la-Torre R, Sanchez-Diaz M, Ureña-Paniego C, Molina-Leyva A, Arias-Santiago S. The impact of dupilumab on skin barrier function: A systematic review. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 2023; 37:1284-92.
中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者173名(12-65歳)を対象に、デュピルマブによる治療介入を行い、前向き観察研究として皮膚バリア機能への影響を評価した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(AD)の病因において、皮膚バリア機能の障害は重要な役割を果たす。
■ デュピルマブはIL‑4およびIL‑13を阻害する薬剤であり、AD治療に有効であるが、表皮バリアへの影響に関するエビデンスは乏しい。
目的
■ 本システマティックレビューの目的は、非侵襲的手法を用いて、AD患者におけるデュピルマブの皮膚バリアへの影響を評価することにある。
方法
■ 本レビューはPRISMAガイドラインに従いシステマティックレビューとして設計された。
結果
■ 文献検索により73件の文献が同定され、最終的に6件が選定され、合計233人の参加者が含まれた。
■ すべての研究は前向き観察研究であった。
■ いずれの研究においても、デュピルマブは臨床スコアの改善を示した。
■ 皮膚バリア機能の各パラメータは主に前腕内側にて測定された。
■ 経皮水分蒸散量(TEWL)は最も頻繁に測定されるパラメータであり、全研究で評価された。
■ デュピルマブは、湿疹病変部および非病変部においてTEWLを低下させた。
■ 約33.6%(6件中2件)の研究では、デュピルマブが湿疹病変部の角質層水分量(SCH)を増加させたと報告しているが、1件の研究ではこのパラメータに変化は認められなかった。
■ 本薬は温度を低下させ、セラミド組成の改善も認められた。
結論
■ 結論として、デュピルマブはAD患者における皮膚バリア機能を改善し、その効果は主にTEWLの低下として反映された。
論文のまとめ
✅️ デュピルマブは、湿疹病変部および非病変部において経皮水分蒸散量(TEWL)の低下、皮膚温の低下、角層水分量(SCH)の増加をもたらし、治療開始後8週から32週にわたって皮膚バリア機能の改善を示した。
【簡単な解説】 この薬を使うことで、皮膚から蒸発する水分量が減り、肌の温度も下がり、さらに皮膚の水分量が増えました。これは、肌のバリア機能(肌を守る力)が良くなったことを示しています。
✅️ EASI-75を達成した患者では、16週目でTEWLの中央値低下が30%対11%(p = 0.029)、32週目では43%対5%(p = 0.0088)と有意に大きな改善を示した。
【簡単な解説】 特に症状が75%以上改善した患者さんでは、皮膚の表面から蒸発する水分が大きく減少しました。
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