新規抗炎症外用薬で、アトピー性皮膚炎の悪化や感作を予防できるか？
■ アトピー性皮膚炎の発症予防・もしくはアトピーマーチ予防に関し、出征後からの保湿剤定期塗布、早期積極治療など、さまざまな方法が試みられています。
■ 保湿剤の定期塗布に関しては、大規模研究で失敗したことから、メタアナリシスでも否定的な報告も少なからずあります。
■ 一方で、有効であるとするランダム化比較試験も複数発表されました。
■ すくなくとも、「保湿剤の予防的な定期塗布」に関しては、「一定の条件が必要なのではないか」という考えが提案されるようになりました。
■ そして、早期に抗炎症薬を塗布する方法に関して、「PACI試験」で効果が示されました。
■ ただし、PACI試験に関しては、やや心配な点も指摘されています。
■ さて、最近、生後3か月からPDE4阻害外用薬ジファミラスト（モイゼルト）軟膏が使用できるようになり、早期にステロイド外用薬以外の抗炎症薬を使えるようになりました。
■ では、このような抗炎症薬を使っていけばいいのでしょうか？
■ 残念ながら、このような研究は、ランダム化比較試験として実施されていません。
■ しかし、最近、DIFENSE試験としてプロトコールが公開されていました。
まだ研究結果は先々にでることになるでしょうけれども、そのプロトコールを確認してみました。
Yamamoto-Hanada K, Okamoto K, Kishimoto N, Tsuchiya K, Natsume O, Takemura Y, et al. DIFENSE Study Protocol: Early Intervention With Difamilast Ointment in Infantile Early-Onset Atopic Dermatitis for Prevention of Transcutaneous Sensitisation. Clinical & Experimental Allergy.n/a(n/a).
生後42日から90日の間に初発症状発生から28日以内にUKWP基準に基づいてアトピー性皮膚炎と診断された乳児150人（ジファミラスト治療群100人、標準治療群50人）に対して、16週間の多施設共同無作為化比較探索試験（DIFENSE試験）を実施している。
研究ではなくプロトコールなので、まとめのみ。
✅️ PACI 試験（今回の研究ではなく、先行して行われた研究）では、病変のない皮膚領域にもステロイド外用薬を塗布する積極的な早期治療プロトコールにより、生後28週までに卵アレルギーの有病率が標準治療と比較して25％低下した。
【簡単な解説】 過去の別の研究（PACI Study）では、見た目で分かる湿疹がある部分だけでなく、正常に見える皮膚にもステロイド軟膏を塗ることで、生後約7ヶ月までに卵アレルギーになる赤ちゃんの数が、普通の治療と比べて4分の1（25％）も減ったことが分かりました。
✅️ DIFENSE試験の主要評価項目は、登録後16週目に血清卵白、オボムコイド、牛乳、小麦、オメガ5グリアジン、クルミ、Jug r 1、ピーナッツ、Ara h 2に感作された乳児の割合を評価することである。
【簡単な解説】 この研究では、治療を始めてから16週間後に卵や牛乳、小麦、ピーナッツなどの食べ物に対するアレルギーの反応（感作）が出ている赤ちゃんが何人いるかを比較します。これによって、ジファミラストという新しい薬がアレルギーを防ぐのに役立つかどうかが分かります。
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