アトピー性皮膚炎治療の新規抗炎症薬タピナロフ。1年間のフォローアップ試験の結果が公開されました。
■ タピナロフは、2024年6月に12歳以上で使用できるようになったアトピー性皮膚炎の新規外用薬です。
■ 最近、米国とカナダの複数の病院で行われた大規模な臨床試験が行われ、48週間（約1年間）にわたって、タピナロフの効果と安全性が調査されました。
■ アトピー性皮膚炎は、長期間にわたって治療が必要な皮膚の病気です。一般的に、アトピー性皮膚炎の外用薬は1日に複数回塗布することが求められましたが、タピナロフは1日1回塗布で効果があるとされています。
■ タピナロフは、私たちの体にもともとある「AhR」という受容体に働きかけて、皮膚を守る成分を増やし、炎症を抑え、皮膚の酸化によるダメージを防ぎます。
■ 先行研究では、2歳から大人まで幅広い年齢の患者さんに8週間使ってもらったところ、安全で効果的であることが分かりました。
■ このADORING1＆2試験の後、1年間の治療結果が、最近ADORING3試験として公開されていました。
Bissonnette R, Stein Gold L, Kircik L, Simpson EL, Eichenfield LF, Browning J, et al. Skin clearance, duration of treatment-free interval, and safety of tapinarof cream 1% once daily: Results from ADORING 3, a 48-week phase 3 open-label extension trial in adults and children down to 2 years of age with atopic dermatitis. J Am Acad Dermatol 2025.
728名のアトピー性皮膚炎患者（2歳以上）を対象に、タピナロフクリーム1%を1日1回塗布し、最大48週間（約1年間）にわたって効果と安全性を評価した非盲検延長試験を実施した。
背景
■ 2つの重要な第3相試験において、タピナロフは2歳以上のアトピー性皮膚炎患者において有意な有効性を示し、良好な忍容性が認められた。
目的
■ 第3相非盲検延長試験において、皮膚症状の改善率、治療中断期間の持続時間、およびタピナロフの安全性を評価する。
方法
■ ADORING 1および2の重要な第3相試験、4週間の最大使用量薬物動態試験の参加者、およびタピナロフ未使用患者が、最大48週間タピナロフの投与を受けた。
■ 治療は、アトピー性皮膚炎に対する検証済み医師総合評価（vIGA-AD）スコアに基づいて実施された。
■ vIGA-AD≥1の患者は、vIGA-AD=0になるまでタピナロフを投与された。
■ vIGA-AD=0を達成した患者はタピナロフを中止し、治療中断期間についてモニタリングされた。
■ vIGA-AD≥2の患者は、vIGA-AD=0になるまで再治療された。
結果
■ 728名の患者が登録された。
■ 全体として、51.9%がvIGA-AD=0を達成し、81.6%が少なくとも1回はvIGA-AD=0または1を達成した。
■ 初回の完全寛解達成後に治療を中止した後、初回治療中断期間の平均は79.8日連続であった。
■ タピナロフは良好な忍容性を示し、新たな安全性シグナルは認められなかった。
■ 最も頻度の高い有害事象は、毛包炎（12.1%）、鼻咽頭炎（6.9%）、および上気道感染症（6.9%）であった。
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