タピナロフ(ブイタマー)でアトピー性皮膚炎はどこまで改善する?:メタアナリシス

2024年に登場した、アトピー性皮膚炎の新規外用薬タピナロフ

■ アトピー性皮膚炎は、よく見られる皮膚の病気です。従来、主な治療薬はステロイド外用薬でした。炎症を抑えるのに効果的であるものの、長い間使い続けると皮膚が薄くなったり、血管拡張、酒さ用様皮膚炎をおこしたりなど副作用が起こることがあります。

■ そこで注目されているのが、新規の抗炎症薬です。そのうち、「タピナロフ(ブイタマー)」は、2024年から12歳以上で保険適用となり、注目されています。これはステロイドとは全く違うメカニズムで働く薬で、「アリール炭化水素受容体」という体内のたんぱく質に働きかけて、炎症を抑えたり皮膚のバリア機能を回復させたりします。

■ これまでの研究で効果的であることが分かってきており、より良いアトピー性皮膚炎の治療につながる可能性が期待されています。しかし、まだ新しい薬でもあり、メタアナリシスは不十分でした。最近、マイナー誌ですが、メタアナリシスが報告されていました。

de Farias Santos ACF, Zamora FV, Cavalcante DVS, Mendes BX, Molino GOG, Galvao LKCS, et al. Tapinarof cream in the treatment of atopic dermatitis in children and adults a systematic review and meta-analysis. Discover Medicine 2025; 2:1-10.

アトピー性皮膚炎患者1,165名を対象に、タピナロフクリーム(755名)と偽薬(410名)を比較し、8~12週間の治療効果と安全性を検証したランダム化対照試験5研究のメタアナリシスが実施された。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)は、発赤および/または色素沈着を伴う掻痒性丘疹を特徴とする慢性炎症性皮膚疾患である。
■ 外用療法は、軽症ADに対しては安全で有効なアプローチとして、また中等症から重症ADに対しては補完療法として考慮される可能性がある。

目的

■ AD患者における外用アリール炭化水素受容体アゴニストであるタピナロフクリームの有効性と安全性を評価すること。

方法

■ Pubmed、Embase、およびCochraneを体系的に検索し、AD患者においてタピナロフクリーム対媒体を比較したランダム化臨床試験(RCT)を対象とした。

■ 二項エンドポイントについてリスク比(RR)を95%信頼区間(95% CI)とともに算出した。
■ 統計学的有意性はp値<0.05と定義した。

結果

■ 計5つのRCTと1,165名の患者が含まれ、タピナロフ群には755名(64.8%)の患者が含まれた。

■ 媒体群と比較して、タピナロフに割り当てられた患者では、研究者による全般改善度評価(IGA)スコア0(清浄)または1(ほぼ清浄)の達成率がより高く(RR 2.42; 95% CI 1.73~3.38; p<0.001)、湿疹面積重症度指数(EASI)スコアの75%以上の改善も認められた(RR 2.65; 95% CI 2.14~3.29; p<0.001)。

■ しかし、タピナロフ群の患者では、媒体と比較して有害事象の発生率が有意に高く(RR 1.58; 95% CI 1.34~1.86; p<0.001)、毛嚢炎(RR 6.21; 95% CI 2.49~15.50; p<0.001)および頭痛(RR 3.24; 95% CI 1.15~9.06; p=0.025)が含まれていた。

結論

■ このメタ解析では、タピナロフクリームの使用はAD患者において効果的であり、良好な忍容性を示すと結論された。
■ タピナロフクリームの長期有効性を評価するさらなる研究が必要である。

 

 

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