軽症のピーナッツアレルギーにこそ、治療を考慮したほうが良い?:CAFETERIA試験

ピーナッツアレルギー治療に対し、いつ、どのように治療を開始するべきか?

■ ピーナッツアレルギーは、日本人でも少なくない食物アレルギーです。しかし、今まで報告された研究の多くは、ピーナッツをほんの少し(ピーナッツ半粒以下)食べただけで症状が出る重いアレルギーの人たちを対象にしていました。

■ でも実際には、ピーナッツ半粒以上を食べないと症状が出ない「軽めの」ピーナッツアレルギーの人たちもたくさんいます。これまでこのような人たちにどんな治療が効果的なのか、ほとんど研究されていませんでした。

■ これまでのピーナッツ経口免疫療法(OIT)の研究では、いくつかの重要な課題が明らかになっています。例えば、2019年に発表された大規模な統合解析では、OIT治療により食べられる量は確実に増えるものの、治療中にアナフィラキシーなどの重篤な副作用が起こるリスクも高くなることが報告されています。

Chu DK, et al. Oral immunotherapy for peanut allergy (PACE): a systematic review and meta-analysis of efficacy and safety. The Lancet. 2019;393(10187):2222-2232.

■ また、治療後の効果の持続についても課題があります。2019年のPOISED研究では、2年間のOIT治療を完了した患者でも、治療を完全に中止すると多くの人が再びアレルギー反応を示すようになることが明らかになりました。

Chinthrajah RS, et al. Sustained outcomes in oral immunotherapy for peanut allergy (POISED study). The Lancet. 2019;394(10207):1437-1449.

■ さらに、早期治療への期待も複雑な結果を示しています。1〜3歳の幼児を対象とした2022年のIMPACT試験では、若年での治療開始でも治療完了後の持続的な改善は21%の患者にとどまり、大部分の患者では治療中止後に再び反応性が戻ることが示されました。

Jones SM, et al. Efficacy and safety of oral immunotherapy in children aged 1–3 years with peanut allergy (IMPACT trial). The Lancet. 2022;399(10322):359-371.

■ そこで最近、「比較的軽症の」ピーナッツアレルギーの子どもたちに、一般に購入可能な普通のピーナッツバターを使った治療が効くかどうかを調査するCAFETERIA試験が実施されました。

■ すなわち、これまで見過ごされがちだった「比較的軽症のピーナッツアレルギー」の子どもの治療方法を見つけるための第一歩といえる研究と言えます。従来の重症患者を対象とした研究とは異なる新しいアプローチといえます。

※日本では、経口免疫療法は標準療法ではありません。

Sicherer SH, Bunyavanich S, Berin MC, Lo T, Groetch M, Schaible A, et al. Peanut Oral Immunotherapy in Children with High-Threshold Peanut Allergy. NEJM Evid 2025; 4:EVIDoa2400306.

背景

■ 承認されたピーナッツアレルギー治療薬は、複数のピーナッツに対してアレルギー反応を示す多くの患者のために設計されていない。

方法

■ 4歳から14歳の参加者で、443mgから5043mgのピーナッツ蛋白への負荷試験で反応を示した者を、家庭で計量したピーナッツバターを用いるピーナッツ経口免疫療法(P-OIT)群とピーナッツ回避群に1:1で無作為割り付けした。

■ 主要評価項目は、ベースラインより2段階多い量、または9043mgのピーナッツタンパク質を問題なく摂取できた人の割合の差とした。
■ 9043mgを摂取できた治療群の参加者については、16週間自由に摂取した後、8週間完全に中止してから、治療をやめても耐性が続くかどうか(持続的無反応)を検査した。

結果

■ 参加者73名のうち、38名が治療群、35名が回避群に分けられた。

■ 摂取群38名中32名(84.2%)および回避群35名中30名(85.7%)が主要評価項目の食物負荷試験を受けた。
統計学的な補正方法を用いた主要解析では、治療群で100%、回避群で21.0%の成功率となった(群間差79.0ポイント; 95%信頼区間64.6〜93.5; 統計学的に極めて有意、P<0.001)。
■ 治療を受けた32名全員と回避群の30名中3名(10%)が9043mgを耐性した。
■ すべての参加者を含めた解析(intention-to-treat analysis)で、治療群の68.4%(26/38名)が治療中止後も耐性(持続的無反応性)を維持し、回避群では9043mgを摂取できた人は8.6%(3/35名)だった(群間差59.9ポイント;95%信頼区間42.4〜77.3)。
■ 治療による副作用はすべて軽度(グレード1以下)で、重篤な副作用の報告はなかった。

結論

■ 高い閾値(比較的多くのピーナッツを摂取しないとアレルギー反応が起きない)を持つピーナッツアレルギーの児において、市販のピーナッツを家庭で計量して行う治療法は、ピーナッツを避ける方法と比べて、治療をやめた後も続く脱感作効果を有意に高い確率で実現した。

 

 

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