
保湿剤により、アトピー性皮膚炎は予防できるのか?
乳児期から毎日保湿剤を塗ればアトピー性皮膚炎を予防できるのか?
この問いには、これまでBEEP試験(2020年)やPreventADALL試験(2020年)など大規模RCTが「予防効果なし」と答えており、一時は「全例にルーチン保湿は推奨できない」というコンセンサスが形成されつつありました。
ところが2025年、米国の一般乳児1247組を対象としたCASCADE試験(Simpson EL ほか、JAMA Dermatology 2025)が、生後9週前から24か月まで毎日全身保湿することで、24か月時のAD累積発症を36.1%対43.0%、相対リスク0.84(95%CI 0.73–0.97、P=0.02)と低下させたと報告し、議論を再点火しました。
特に注目すべきは、家族歴のない「高リスクでない乳児」でむしろ効果が大きく(RR 0.75、95%CI 0.60–0.90、P=0.01)、家庭に犬がいる場合に効果が増強された(RR 0.68、95%CI 0.50–0.90、P=0.01)という事前指定サブ解析の結果です。皮膚有害事象に群間差はなく、皮膚感染も19.8%対21.1%(RR 0.94、0.74–1.20)と差がありませんでした。
一方で、CASCADEは保護者非盲検かつ診療録ベース診断という限界があり、製剤も保護者が市販品5種類から選択する設計でした。
これまでの否定的試験(BEEPなど)と何が違うのか、サブ解析の所見はどこまで一般化できるのか、外来診療でどう保護者に説明するか。
こうした問いに対して、noteメンバーシップでは関連論文6本を一次情報で確認しながら整理しています。「9週前から始めるかどうか」「家族歴があってもなくても」「日本の住環境で実装できるか」を考えるうえで参考になる内容です。

noteメンバーシップのご紹介
「気になる論文情報」では、毎回テーマを決めて5〜6本程度の論文を紹介し、要点整理・Action Plan・必要に応じてスライドや図解を添えて、臨床ですぐに使える形にまとめています。
今回のテーマは「乳児への保湿剤による一次予防」で、CASCADE試験を中心に、これまでの否定的コンセンサス(BEEP 2020、BEEP 5年追跡、PreventADALL)と、新しい介入様式の可能性(STOP-AD、Horimukai 2014)を組み合わせた構成にしました。
論文2以降では、「高リスク児に毎日保湿で予防できるか」「2歳時点で効かない介入が5年時点でも効かないのか」「一般集団でも介入様式によって結論が変わるのか」「短期集中・新生児期早期の介入は可能性があるのか」「日本の歴史的試験は現代の議論にどう位置づけられるか」を順に検討しています。
数値や個別の結論は、いずれも一次情報で裏付けが取れているものに限定しています。「効くかもしれない/効かないかもしれない」が混在する領域だからこそ、外来で保護者と話し合うための材料として活用していただけると幸いです。
もしご興味があれば、ぜひメンバーシップで本文をお読みください。









