
成人の食物アレルギーに経口免疫療法を導入可能か?
■ 成人の食物アレルギーは、世界的にも治療は難しいと考えられている側面があります。しかし、最新の研究では、治療により成人の67%が大幅な改善を示し、これは子どもと同等の成功率であったという研究結果もあります(継続して”食べなければならない”という”脱感作”ではありますが)。
Na'ama Epstein-Rigbi, et al. Efficacy and Safety of Food Allergy Oral Immunotherapy in Adults. Allergy. 2023;78(3):803-811.
■ ピーナッツアレルギーは、欧米では人口の約1.5%の人が持っている比較的よくあるアレルギーです。日本でも少なくなく、厄介なことに、このアレルギーの約75-80%は自然には改善しないと考えられています。つまり、子どもの頃にピーナッツアレルギーになった人は、大人になってもずっとその症状と付き合っていかなければならないのです。
■ 大人のピーナッツアレルギーは、子どものものよりも重篤になる傾向があります。研究によると、大人は子どもに比べて重篤化しやすいことも報告されています。
■ しかし近年の研究では、これまで考えられていたよりも成人での治療可能性もあることが明らかになってきました。フィンランドで行われた長期追跡研究では、成人15例を最長5年間観察した結果、90%以上の患者が日常的な摂取量まで耐性を獲得し、その効果が5年後まで持続したとされています。
Tuuli Thomander, et al. Long-term Clinical Outcome of Oral Immunotherapy in Adults with Milk, Peanut, and Egg Allergy: A Pilot Study. J Allergy Clin Immunol Pract. 2024;12(3):776-778.e2.
■ これは「成人では免疫の柔軟性が低く、治療効果が期待できない」という従来の考えを覆す重要な発見といえます。
■ そのようななか、欧州免疫アレルギー学会雑誌から、成人のピーナッツアレルギーの経口免疫療法に関する報告、GUPI試験が公開されていました。
※経口免疫療法は、リスクのある治療で標準治療ではありません。
Hunter H, Ue KL, Cornelius V, Yung CC, Thomas I, Tsilochristou O, Layhadi J, Siew LQC, Venter C, Shamji MH, Till SJ. Oral Immunotherapy in Peanut-Allergic Adults Using Real-World Materials. Allergy. 2025 Apr 23. . Epub ahead of print.
18-40歳のピーナッツアレルギーを持つ成人21名に対し、jっ際のピーナッツ製品を使用した経口免疫療法を実施し、最終的に1000mgの維持量まで段階的に増量する治療を行いました。
背景
■ ピーナッツ経口免疫療法(OIT)は小児の脱感作達成において有効性が示されているが、成人における根拠は不足している。
方法
■ この第II相試験では、実世界のピーナッツ製品を使用して、ピーナッツアレルギーのある成人に対するピーナッツOITを評価した。
■ 無効性判定のためのstop:go機能を組み込んだSimon's minimax二段階デザインを採用した。
■ 機序的パラメータの比較のため、無治療対照群もリクルートされた。
■ 参加者は、試験開始時に0.3〜300mgのピーナッツタンパク質用量による二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)を受けた。
■ 陽性だった参加者は、1000mg(大型ピーナッツ4個)の維持用量に到達するまで2週間ごとの増量を伴う毎日のOITを開始した。
■ 主要評価項目は、終了時DBPCFCにおいて1.4gのピーナッツタンパク質累積用量を忍容したOIT参加者の割合であった(用量は0.3〜3000mg)。
結果
■ 21名の成人(女性8名;平均年齢24.2歳[SD 4.9])がOIT群に登録され、67%が毎日の維持用量を達成し主要評価項目を満たした。
■ 3名が有害反応により脱落し、さらに3名がOITと無関係な理由で試験を完了しなかった。
■ 忍容用量の中央値は、30mg(約ピーナッツ1/8個相当)から終了時負荷試験での3000mg(ピーナッツ12個)に増加し、100倍の増加を示した(p<0.0001)。■ OITはQoL測定値の改善と関連していた。
■ ピーナッツ皮膚プリック試験サイズの抑制とピーナッツ特異的IgGの誘導が、対照参加者ではなくOIT群で観察された。
結論
■ ピーナッツOITはピーナッツアレルギー成人に対する有効な治療法であると考えられる。
■ 確認のため、および異なる成人亜集団における安全性プロファイルの特性化のために、さらなる研究が必要である。
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