若手医師が抄読会で読むのにオススメできる医学雑誌リンク集 (協力者を希望しております)。
参考に足る医学雑誌を選択するのは簡単ではない。
■ 若い先生と勉強会をすると、かなり怪しい論文がでてくることもあります。
■ 最初のうちは仕方がない点と言えましょう。そこで私が作成した表から医学雑誌を選択するようにしていただいています。
■ その要因として、問題のある医学雑誌が増えてきていることにもあります。英文で査読があれば良いという時代ではなくなってきているのです。
■ そこで、私が作成した医学雑誌集を皆さんとも共有させていただいた上で、それぞれの御専門の分野で「これはいれるべき」「これは無くていいのでは」という御意見をいただきながらブラッシュアップしたいと考えました。
■ このブログでご紹介している論文は、おおむねこれらの中からです。この中からでない場合も、一応信頼性を確認してからUPしています。
■ 専門の関係で、あくまで小児科医、アレルギー専門医としてのジャーナルに偏っていますが、その点はご了承ください (また、順番も私の専門の順になっているのですが、、(^^ゞ単に私が使いやすいように記事を作った経緯がありますのでご寛恕を、、専門の序列を作っている訳ではありません)。
※ 2019/4/6 追記。
■ 若手の優秀な先生方のご意見をいただき、この記事を成長させていこうということになりました。
■ 私の力では全くもって不十分ですので、現在のリストをたたき台としてそれぞれの専門の先生方のお力添えを頂きたく存じます。
■ 詳しくはTaka先生のツイートや、耳鼻咽喉科医先生のツイートをご覧下さい。
■ これらのご意見から、記事タイトルも変更いたします。
■ 「信頼できる英文医学ジャーナルのリンク集」から「若手医師が抄読会で読むのにオススメできる医学雑誌リンク集」になります。
ほむほむ@アレルギー専門医(@ped_allergy )先生のご許可をいただき、下記の記事編集に協力いただける先生を募集します!
— Taka@救急医 (@mph_for_doctors) April 6, 2019
テーマは「若手医師が抄読会で読むのにオススメできる雑誌」で、みなさんの専門領域で「読んでおくべき」Journalの紹介をお願いできればと思います。https://t.co/VjIY8T7esc
大学などならトムソン・ロイターのjournal citation reportsを見て、そこで分野別のインパクトファクター(IF)ランキングが見れるのである程度参考になりますが、専門家の間でIFがそれほど高くなくても価値の高い雑誌もあります。特に専門外の雑誌の格の目安としてはこのリストは有用かなと思います。 https://t.co/oGc2IZ6J8Q
— ひまみみ👂耳鼻科@プロの医療ツイートとネタツイート (@ent_univ_) April 6, 2019
具体例として
— Taka@救急医 (@mph_for_doctors) April 6, 2019
New England Journal of Medicine
ランク:S 2018インパクトファクター:79.3
言わずと知れた世界最高峰の医学雑誌。ハーバード大学医学図書館に編集室をおいたニューイングランドの地方誌が世界一のIFを誇る医学誌である点に、医学界の勢力図が表れている。
医学ジャーナルリンク集 (暫定版・リンク工事中)
アレルギー
Journal of allergy and clinical immunology
ランク: S
2017 インパクトファクター:13.258
臨床アレルギー分野では最も人気・権威のある米国の免疫アレルギー学会雑誌。まずはアレルギー関連であれば確認したい。
Clinical and Experimental Allergy
Current Opinion in Allergy and Clinical Immunology
Pediatric Allergy and Immunology
International Archives of Allergy and Immunology
Annals of Allergy, Asthma and Immunology
小児科総合
Paediatric And Perinatal Epidemiology
Archives of Disease in Childhood
Pediatric Clinics of North America
The Lancet Child & Adolescent Health
呼吸器
American journal of respiratory and critical care medicine
American journal of respiratory cell and molecular biology
【NEW!】European Respiratory Journal
皮膚
Journal of Investigative dermatology
Journal of American Academy of dermatology
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology
臨床医学総合(文責:Taka先生)
New England Journal of Medicine ※トップ6
ランク:S
2017インパクトファクター:79.3
言わずと知れた世界最高峰の医学雑誌。方法論のしっかりしたRCTであることに加え、実臨床に与えるインパクトの大きさが重視される。解釈は読者に委ねるという立場を取るため、著者の主観を入れることは好まれない。編集室はハーバード大学医学図書館にある。
Lancet ※トップ6
ランク:S
2017インパクトファクター:53.3
イギリスの外科医により創刊された世界で最も権威のある医学雑誌の1つ。NEJM, JAMAと比較すると少し観察研究の割合が高いこと、発展途上国の医療への関心が高いことが特徴。トップ6の中で唯一の商業誌である。
JAMA ※トップ6
ランク:S
2017インパクトファクター:47.7
米国医師会雑誌。基本的にRCTでないと掲載されないが、稀に大規模な観察研究が載ることもある。掲載される論文の質としてはNEJMとほぼ同等だが、実臨床に与えるインパクトにはわずかな差がある印象である。
The BMJ British Medical Journal ※トップ6 (The BMJに名称変更)
ランク:S
2017インパクトファクター:23.6
英国医師会雑誌。EBMに対する関心が高く、RCTや大規模な観察研究に加えて、システマティックレビューや医療経済評価などの2次分析の掲載頻度が高いのが特徴。毎年クリスマスの時期にユーモアのある論文を掲載することでも有名である。
内科総合 (文責: GAO先生)
Annals of Internal Medicine ※トップ6
ランク:S
2017インパクトファクター:19.4
米国内科学会雑誌。
JAMA Internal Medicine ※トップ6
ランク:S
2017インパクトファクター:20.0
旧Archives of Internal Medicine。JAMA Networkの雑誌のひとつ。
基礎医学
【NEW!】PLoS Medicine
神経
血液腫瘍
循環器 (文責:Yu先生)
Circulation, JACC, EHJが三大循環器雑誌。循環器一般誌としては、基本的にこの3つであればほぼ間違いない。
診療上の疑問は、まずこれらが発行しているガイドラインを参照すると良い。これら三大誌の姉妹誌もだいたいお勧めできるが、クオリティはまちまちになる。
【NEW!】Circulation
ランク:A 2017インパクトファクター:18.881
AHA(アメリカ心臓協会)の学会誌。循環器専門誌として最も歴史がある(1950年創刊)。質の高い研究のみならずユニークな報告にも焦点が当てられる。循環器一般誌としてまず初めに挙がるであろう伝統・歴史のある雑誌。ガイドラインの発行はACCと合同で行っている。なお、脳卒中誌の一つであるStrokeはAHAのdivisionであるASAが発刊している。
Thoracic and Cardiovascular Surgery
【NEW!】JAMA Cardiology
ランク:B 2017インパクトファクター:10.133
一流誌JAMAの姉妹誌。比較的最近にJAMAから暖簾分けされた。惜しくもJAMAを逃した研究を掲載していると思われ、信頼を置いて良いと思われる。創刊から日が浅いが既にIFは10を超えていて、今後さらに伸びるかもしれない。
【NEW!】Journal of the American College of Cardiology
ランク:A 2017インパクトファクター:16.834
ACC(アメリカ心臓病学会)の学会誌。臨床的に重要な研究が掲載される。各種姉妹誌 JACC Cardiovasc Interv や JACC Cardiovasc Imaging などにも最新の知見が掲載され、読みごたえのある論文が多い。姉妹誌のIFも高い。ガイドラインの発行はAHAと合同で行っている。
【NEW!】European Heart Journal
ランク:A 2017インパクトファクター:23.425
ESC(欧州心臓病学会)の学会誌。現在、AHA/ACCと並んでESCのガイドラインも世界をリードする存在である。もともと循環器誌のうちで3番手だったが、米国やアジアからのEditorial boardを招聘、また、サブスペシャリティ領域の専門家をレビュアーに迎えて質の高い研究を呼び込むことに成功、急速にIFを伸ばした。EU圏からの報告に限らず、米国や世界中からの報告が掲載されている。2017年IFでは、循環器誌においてトップである。
※循環器専門紙ではないが、NEJM, JAMA, BMJなどの一般誌トップジャーナルに掲載された循環器に関する論文も概ねハズれがないと考えてよい。
内分泌代謝(文責: GAO先生)
Journal of Inherited Metabolic Disease
Molecular Genetics and Metabolism
Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
Lancet Diabetes and Endocrinology
ランク:B
2017インパクトファクター:19.3
The Lancetの関連雑誌。内分泌代謝専門誌でTOPジャーナルのひとつ
ランク:B
2017インパクトファクター:13.4
米国糖尿病学会雑誌
ランク:B
2017インパクトファクター:6.0
欧州糖尿病学会雑誌
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
ランク:B
2017インパクトファクター:5.8
米国内分泌学会雑誌
感染免疫膠原病
Pediatic Infectious Disease Journal
Journal of infectious Diseases
The Lancet Infectious Diseases
Infectious Disease Clinics of North America
Journal of the Pediatric Infectious Disease Society
新生児
Archives of disease in childhood
腎臓
Journal of the American Society of Nephrology
American Journal of Kidney Diseases
集中治療(文責:Taka先生)
ランク:A
2017インパクトファクター:6.6
米国集中治療医学会誌。集中治療領域では歴史のある格調高い雑誌であり、基礎研究も臨床研究も掲載される。実臨床のプラクティスを変え得るレベルの論文が掲載されることもあり、十分推奨できる
ランク:A
2017インパクトファクター:15.0
ヨーロッパ集中治療医学会誌。2014年頃まではIF 5前後でCCMに次ぐ2番手の雑誌だったが、Reviewを多く掲載することでIFを伸ばすことに成功した。Surviving Sepsis Campaign GuidelinesはCCMとICMの両者に掲載されることもあり、どちらもA評価。
ランク:B
2017インパクトファクター:6.4
SOFA scoreの生みの親として知られる世界で最も有名な集中治療医Jean-Louis Vincentが編集長を務める集中治療専門誌。良くも悪くもprimitiveな論文が掲載されるため質にバラつきはあるものの、面白い論文はものすごく面白い。オープンアクセスであることも特徴。
Pediatric Critical Care Medicine
ランク:B
2017インパクトファクター:3.1
小児の集中治療というだけで既にニッチだが、その中でもCardiac, Neuro, Renal, Neonatalなど更に細分化された論文を掲載する。エビデンスレベルが高い論文は少ないが、超専門領域のデータを扱うという意味では希少価値が高い。
外科
外傷(文責:Taka先生)
Journal of Trauma and Acute Care Surgery
ランク:B
2017インパクトファクター:3.4
米国外傷外科学会の公式誌。外傷外科に関連する基礎系・臨床系の論文が万遍なく掲載される。新たな治療や手術手技に関する素晴らしい論文が掲載される一方、解析手法に問題がある観察研究も多く注意が必要。
ランク:B
2017インパクトファクター:5.0
米国脳神経外傷学会誌。頭部外傷手術に関連する臨床系の論文だけでなく、神経外傷に関連するタンパクの解析など基礎系の論文も多く掲載される。非常に専門的だが、頭部・脊髄外傷に関する論文の質はまずまず高く有用と言える。
※外傷専門紙ではないが、Annals of Surgery、JAMA Surgery、British Journal of SurgeryなどのAランクの雑誌に掲載された外傷に関する論文は概ね外れがないと考えてよい。
栄養学
疫学
耳鼻咽喉科(文責:暇な耳鼻咽喉科先生)
耳鼻咽喉科の場合は、耳鼻咽喉科の雑誌というもの自体がニッチなため、たとえば頭頸部腫瘍学であれば一般誌や外科雑誌、耳科学であればNeuroscienceの雑誌、鼻科学(アレルギーなど)ならアレルギー系の一般誌にインパクトが高いものは掲載されることになる。したがって抄読会でもそれらの雑誌から読まれることも多いが、それらは別稿に譲り、ここでは耳鼻咽喉科の雑誌に絞って記載する。
ランク:B
2017インパクトファクター:2.4
題名はLaryngoscopeだが、耳鼻咽喉科全体を網羅する。耳鼻咽喉科のJournalの中ではTop Journalの一つ。研究デザインや解析などやや甘いものも目立つが、耳鼻咽喉科における新たな知見を得るにはよい雑誌。
ランク:B
2017インパクトファクター:2.5
頭頸部腫瘍の専門雑誌としては随一の雑誌。一般紙には載らないややニッチな検討もよく掲載され、頭頸部腫瘍に関してのMeta-Analysisなどもよく掲載されるため、それらの専門家なら必須の雑誌。
ランク:C
2017インパクトファクター:2.2
米国耳科・神経耳科学会誌。耳鼻咽喉科の中でも耳関連ならば歴史があり、権威のある雑誌。Translationalな研究や基礎研究の論文も多い。Otologyの世界ではこの雑誌に一本論文があると、なんとなく胸を張れる、そういう雑誌です。
眼科(文責:三宅正裕先生)
Ophthalmology
JAMA Ophthalmology (旧名 Archives of Ophthalmology)
American Journal of Ophthalmology
Investigative Ophthalmology and Visual Sciences (IOVS)
British Journal of Ophthalmology
Retina
Ophthalmology Retina
【NEW!】救急ER(文責:Green, MD先生)
【NEW!】Annals of Emergency Medicine
ランク:B 2017インパクトファクター:5.0
米国救急医学会ACEPの学会誌。ERの臨床系論文が掲載される。範囲は小児から内科系、外傷そしてマイナーエマージェンシーと幅広い。患者のER滞在時間などマネジメントをアウトカムとした研究も載せている。毎月掲載されるJournal clubは論文の読み方の参考になる。
更新履歴
※ 2018/4/3 初版
※ 2018/4/7 第2版 (yaguuさんからのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2018/5/8 第3版 (oldasthmaさんからのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2018/5/8 第4版 (HIDEさんからのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2018/11/13 第5版 (にゃんともさんからのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/5 第6版(今村文昭先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/6 第7版 (あい先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/6 第8版 (インヴェスドクター先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/6 第9版 総合カテゴリ、自然科学総合カテゴリを整理し、新カテゴリである臨床医学総合カテゴリ、内科総合カテゴリ、基礎医学カテゴリ、外科カテゴリを創設しました。
※ 2019/4/6 第10版(Taka先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/8 第11版(暇な耳鼻咽喉科先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/9 第12版(三宅正裕先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/4/16 第13版(GAO先生からのコメントを参考にさせていただきました)
※ 2019/6/20 第14版(Green, MD先生、Yu先生からのコメントを参考にさせていただきました)
このジャーナルはというご意見があれば、医学雑誌名と分野名、URL、雑誌の説明をご教示ください。
■ 私のよく知らない分野も多いので、コメント欄やメールでご協力いただければ嬉しく思います。
■ リンク切れやリンク間違いなどは、お知らせいただければ幸いです。