こどものアトピー性皮膚炎に対するスキンケア をエビデンスから考える(第1回/全3回)

2017年8月10日

小児アトピー性皮膚炎のスキンケア指導をエビデンスから考える。

■ 「スキンケア」という言葉は、非常に一般的なものになりました。

■ しかし、「エビデンス(証拠)」に基づいた指導をしようとすると、難易度が上がります。これまで、スキンケア指導に関する講演を聴講してきて、エビデンスの面からの話は多くなかったことにちょっぴり不満を持っていました。

■ そこで、2017年に開催された全国学会でいただいたテーマ、「小児科診療における スキンケア指導の役割」では、一般的なスキンケアの方法のみではなく、少しでもエビデンスに基づいたお話をと思い企画しました。

■ その講演を少し手直ししてお示ししたいと思います。ということで、いつもの論文紹介ではありません。

かなり長くなってしまったので、3回に分けたいと思います

 

 

 なぜ、スキンケア指導が必要なのか?

アトピー性皮膚炎は増えている?

■ 20世紀の終盤に気管支喘息・アレルギー性鼻炎が急増してピークに達し、21世紀にはいってからアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが増加しています(Van Bever HP, et al., Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:6-12.)。

■ アトピー性皮膚炎と食物アレルギーに対する対応が、小児科に携わる医療者に求められています。

 

 

アトピー(アレルギー)マーチは、世界で受け入れられている概念。

■ 「アレルギーマーチ」は世界で受け入れられている概念であり、提唱された馬場実先生自身が、初発のアレルギー疾患の中でアトピー性皮膚炎が最も多く72.4%を占めると報告されています(馬場実. アレルギー・免疫 2004: 11: 737-747)。

■ さらに、最近のエビデンスは、乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、その後の気管支喘息・アレルギー性鼻炎・食物アレルギーのリスクとなることを示しています。

■ しかも、重症度が高いほど、低年齢で発症するほど、期間が長くなるほど喘息やアレルギー性鼻炎も、食物アレルギーも、その発症リスクが上がることが報告されています。

■ すなわち、乳幼児期のアトピー性皮膚炎の重症度を下げ、その期間を短くすることが重要になるでしょう。

 

 

 

アトピー性皮膚炎治療の三本柱とステロイド嫌い。

■ アトピー性皮膚炎の治療の三本柱は、「薬物療法」「スキンケア」「悪化要因の対策」であることは皆さん良くご存じかと思います。

 

■ しかし、薬物療法に関して、「ステロイド嫌い(ステロイド忌避)」は一般的とも言えます。ステロイド忌避は、「複数の医療機関を受診している」がリスク要因のひとつという結果であり、ある意味、医療者自身にも責任があるといえるかもしれません。

 

■ 一方で、小児アトピー性皮膚炎の大多数は、「軽症」です。「軽症」のアトピー性皮膚炎は、適切なスキンケア指導のみでも改善していくことがほとんどです。

■ 中等症以上の患者さんに対しても、プロアクティブ治療で治療介入することで軽症に持ち込み、多くは継続的にスキンケア指導で維持していくことが可能です。

■ アトピー性皮膚炎が重症でも、症状があるときのみのステロイド外用薬の使用(リアクティブ治療)に比較して予後が良いことも示されていますし、システマティックレビューでも効果が示めされています。

■ ただ、プロアクティブ治療はステロイド外用薬を沢山使うことが目的の治療ではありません。適切なスキンケア指導を継続して行うことで、ランディングしていただくための治療です。ステロイド外用薬を処方するのみでスキンケア指導を行わないと、ランディングが失敗しやすくなります。

■ すなわち、医療者が適切にスキンケア指導を行うこと、患者さんに継続して実行いただくこと、その二点で、ほとんどの患者さんはステロイド外用薬を沢山使う必要性はなくなります

 

 

適切なスキンケアの指導と実施を継続することは簡単ではない。

■ しかし、スキンケアを継続して指導していくことも、スキンケアを実行し続けていただくことも、決して簡単ではありません。実際、効果的なスキンケア指導は、「長期間」「チームによる」介入が必要という報告もあります。

■ すなわち、医療者にとっても、患者さんにとっても、スキンケアのハードルは決して低くないのです。

■ そこで、まずは一般的なスキンケア指導をお示しし、次にエビデンスに基づいたスキンケア指導をお話します。

 

 

次回は、一般的なスキンケア方法についてです

 

 

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