
ピーナッツアレルギー治療の新たな選択肢になるか?経皮免疫療法の検討が進む。
■ ピーナッツアレルギーは、日本人でも少なくないアレルギーです。海外では特に多いので、先行してさまざまな研究が行われてきたという背景があります。
■ そのうちの一つが「経皮免疫療法(EPIT)」という新しいルートを使った治療法で、「VIASKIN」という商品名で検討が進んでいます。これは、ピーナッツの成分が入った特別なパッチ(絆創膏のようなもの)を背中に貼って、少しずつ体をピーナッツに慣れさせる治療法です。
■ 近年の研究により、この経皮免疫療法は年齢が低いほど効果が高いことが明らかになってきました。2023年に発表された研究では、1-3歳の幼児310名にパッチ治療を1年間行ったところ、67%が300mg以上のピーナッツを摂取できるようになり、プラセボ群の13%を大幅に上回る結果を示しました。
Greenhawt, M., et al. (2023). Phase 3 Trial of Epicutaneous Immunotherapy in Toddlers with Peanut Allergy. N Engl J Med, 388(19), 1755-1766.
■ また、この治療法はピーナッツだけでなく牛乳アレルギーにも応用可能であることが2024年の研究で示されており、300μgのミルクタンパク質を含むパッチを12ヶ月使用することで、2-11歳児の58%が反応閾値を大幅に改善させることができたとしています。
Petroni, D., et al. (2024). Varying Doses of Epicutaneous Immunotherapy With Viaskin Milk vs Placebo in Children With Cow's Milk Allergy. JAMA Pediatr, 178(4), 345-353.
■ しかし、経皮免疫療法の効果は他の治療法と比較すると中等度であり、2025年の系統的レビューによれば、効果の大きさは経口免疫療法(OIT)>舌下免疫療法(SLIT)≒高用量経皮免疫療法(EPIT)>低用量経皮免疫療法というような感じです。一方で安全性は逆の順序となり、経皮免疫療法は重篤なアナフィラキシーのリスクが経口免疫療法の約12分の1と低いとされています。
Chowdhury, E. A., & Jadeja, O. C. (2025). The Safety and Efficacy of OIT vs EPIT in Paediatric Peanut Allergy — Narrative Review. Frontiers in Allergy, 6, 1613237.
■ REALISE研究は、第3相試験で、6ヶ月間のランダム化二重盲検プラセボ対照治療期間に続いて、最大36ヶ月間のオープンラベル期間で計画されました。要は、経皮免疫療法が長期間(最大3年間)安全に使えるかどうかを確認したのです。結果はどうだったのでしょうか?
Pongracic JA, Gagnon R, Sussman G, Siri D, Oriel RC, Brown-Whitehorn TF, et al. Long-Term Safety of Epicutaneous Immunotherapy in Peanut-Allergic Children: An Open-Label Active Treatment (REALISE Study). J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13:1190-200.e3.
4歳から11歳のピーナッツアレルギー児393名に対して、VIASKIN ピーナッツパッチ250μgによる経皮免疫療法を最大36ヶ月間実施し、長期安全性を評価した。
背景
■ ピーナッツアレルギーの治療選択肢が限られているため、患者は偶発的な曝露によるアレルギー反応のリスクに常に晒されている。
■ 経皮免疫療法(EPIT)は、ピーナッツアレルギーに対して研究が進められている新規治療法である。
目的
■ 本研究は、REAL Life Use and Safety of EPIT(REALISE)試験のオープンラベル延長試験として、VIASKIN ピーナッツパッチ250μg(VP250)によるEPITの長期安全性を評価した。
方法
■ REALISE試験は、4歳から11歳のピーナッツアレルギー児を対象とした第3相試験である。
■ 6ヶ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照治療期に続き、最大36ヶ月間のオープンラベル単群実薬治療期間を設けた。
結果
■ 少なくとも1回の治療を受けた392名の参加者(男性54.8%、年齢中央値7.2歳)のうち、77.8%が36ヶ月間の実薬治療を完了した。
■ 治療への平均アドヒアランスは96.4%と高値であった。
■ 大部分の参加者(98.7%)で少なくとも1件の治療下発現有害事象(TEAE)が認められたが、多くは軽度から中等度であり、時間経過とともに頻度と重症度が減少した。
■ 局所の皮膚反応が最も頻繁な治療関連TEAEであり、その発現率は1年目の87.8%から3年目の19.2%に減少した。
■ 治療関連の重篤なTEAEは2名に報告された。
■ 重度アナフィラキシーの既往を有する14名の参加者において、特別な安全性シグナルは認められなかった。
結論
■ 既往の第3相試験と一致して、4歳から11歳のピーナッツアレルギー児において、VIASKIN ピーナッツパッチ250μgによる長期EPITは高いアドヒアランスとともに良好な忍容性を示した。
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