小児虫垂炎処置は、抗生剤投与も選択肢になり得るかもしれない

Minneci PC, et al. Effectiveness of Patient Choice in Nonoperative vs Surgical Management of Pediatric Uncomplicated Acute Appendicitis. JAMA Surg 2016; 151:408-15. 

虫垂炎に抗生剤加療は選択されるか?

■ 小児救急疾患で重要な虫垂炎に関する話題です。

■ 一般には虫垂炎は虫垂切除が第一選択になることが多いですが、抗生剤投与でいわゆる「散らす」方法も選択肢になってきています。

P: 虫垂炎に罹患した7-17歳の患者 102例
E: 少なくとも24時間の経静脈抗生剤投与で症状改善後、経口的な抗生剤投与10日間 37例
C: 虫垂切除 65例
O: 1年間の成功率(=虫垂炎切除術なし)

 

結果

虫垂切除を希望した65例は年齢中央値12歳( IQR9-13歳)、男児45名(69.2%)、抗生剤投与を希望した37名は、年齢中央値11歳( IQR、10-14歳)、男児 24名(64.9%)であり、試験開始時の特徴に差はなかった。

抗生剤投与群の成功率は、30日時点で89.2%(95%信頼区間[CI]、74.6%-97.0%)、1年で75.7%(95%CI、58.9%-88.2%)だった。

複雑性虫垂炎の発生率は、抗生剤投与群2.7%(37名中1名)、虫垂切除群で12.3%(65名中8名)だった(P = .15)

■ 1年後、抗生剤投与群は手術群と比較して、身体が傷害されている日数が短期であり(中央値[IQR]、8日[5-18]対21日[15-25]、P < .001)、虫垂炎にかかる費用も少なかった(中央値[IQR]、4219ドル[2514ドル-7795ドル]対5029ドル[4596ドル-5482ドル]、 P = .01)。


 

虫垂炎に対する対応は、抗生剤加療も選択肢と言えるかもしれない。

 ■ 虫垂炎処置を比較した報告ですが、ランダム化比較試験ではなく、選択は家族の判断になっていました。

■ 重篤な虫垂炎が手術群により含まれている可能性がありますので、解釈に注意は必要です。また、海外に比較して本邦では入院費が安価である傾向があります。虫垂炎関連費用は本邦では逆転するかもしれませんね。

■ 一方で、4人に一人は結局手術になる可能性があるとも言えるものの、抗生剤投与も選択肢になるともいえるでしょう。

なお、虫垂炎に対する検査はCTと超音波検査には差がないという報告があります。むしろ超音波検査の方が、虫垂破裂する率は低かったそうです。

小児虫垂炎の画像検査は超音波のみにしても良いか?

ただし、超音波検査はどうしても術者の技量で差がでますから、なかなか優劣に関しては評価しずらいですね。

 

Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう