Yancey SW, et al. Meta-analysis of asthma-related hospitalization in mepolizumab studies of severe eosinophilic asthma. J Allergy Clin Immunol 2017; 139:1167-75.e2.
ヌーカラは、保険診療で認可が最近おりた、新しい喘息治療薬です。
■ 最近、生物学的製剤/分子標的薬ラッシュとなってきており、多くの領域の医療にパラダイムシフトをもたらしました。
■ そして、アレルギーの世界でも、オマリズマブ(商品名ゾレア)を皮切りに、治療が大きく変わろうとしています。
オマリズマブ(ゾレア)はアトピー性皮膚炎に効果があるか?:システマティックレビュー&メタアナリシス
■ 今回は、抗IL-5製剤であるメポリズマブ(商品名ヌーカラ)のメタアナリシスをご紹介いたします。
E: メポリズマブ投与を少なくとも24週間
C: プラセボ
O: プライマリエンドポイント:入院が必要な増悪率、入院/救急室受診を必要とする増悪率
結局、何を知りたい?
✅メポリズマブ(商品名ヌーカラ)が効果が、成人重症好酸球性喘息に効果があるかどうかを過去の報告をまとめて評価しようとしている。
ヌーカラに関する4本の研究結果をまとめて検討。
■ 本メタアナリシスの条件は、重篤な好酸球性喘息患者に対しメポリズマブを投与したプラセボ比較無作為化試験であり、メポリズマブを少なくとも6回投与を少なくとも24週間継続したすべての研究だった。
■ 4研究の患者は、重篤な喘息におけるATS( American Thoracic Society)の定義を満たした(高用量吸入ステロイド薬+セカンドコントローラ使用でも抑制できていない)。
■ ベースラインの標準的な薬物に加え、メポリズマブ静注(75mg、250mgもしくは750mg)mepolizumab皮下注(100mg)を約4週毎に投与された。
■ それぞれの研究で、参加者はおおむね50歳で喘息罹病期間は17-24年だった。
■ ベースラインの好酸球数は、すべての研究で概ね類似しており、230~350cells/mLだった。
■ また、前年の重篤な増悪回数も概ね類似しており、平均2.9~5.5回だった。
■ 患者の36%は、研究開始時に定期的にステロイド薬を内服していた。
■ ベースラインの肺機能は、予測FEV1と気管支拡張薬後のFEV1は、58%to78%から、68%to78%までさまざまだった。
■ メポリズマブは、プラセボと比較して、有意に入院リスク(relative rate[RR] 0.49; 95%CI、0.30-0.80; P = .004)と入院/救急室受診する増悪リスク(relative rate[RR] 0.49; 95%CI、0.33-0.73; P < .001)を低下させた。
論文から引用。メポリズマブ(ヌーカラ)は、A:最初の入院を要する喘息発作も、B:入院/救急受診するリスクも減少させた。
■ 1回以上の入院を経験した患者の比率が45%、入院and/or救急室受診が38%、有意に減少した。
結局、何がわかった?
✅メポリズマブ(商品名ヌーカラ)は、入院リスクを49%に、救急受診リスクを49%に低下させた。
ヌーカラは、入院リスクも救急外来受診リスクも約半分にする。
■ メポリズマブ(ヌーカラ)はIL-5(主に好酸球性炎症を阻害する)に対するヒト化mAbで、重篤な好酸球性喘息患者の好酸球値を低下させることが示されています。
■ 生物学的製剤は種類が増えてきており、急速に発展しようとしています。
生物学的製剤による難治性喘息治療のパラダイムシフト~米国で承認された生物学的製剤(第3回/全3回)
■ メポリズマブは、重篤な好酸球性喘息患者における入院を必要とする増悪や、救急室受診を、プラセボと比較してほぼ半分にしたとまとめられます。
■ 一方で、効果があるのはごく一部の好酸球性喘息のみであり、重症喘息であれば適応されるというものでもありません。とくに、バイオマーカーに関する知識を要します。
喘息のバイオマーカー~様々なバイオマーカー~(第2回/全2回)
■ さらに、これは成人に関するデータですので、小児に関しては、まだこれからの検討を要すると思われます。ただし本邦でもすでに12歳以上の小児に保険認可がおりています。
■ 皮下注製剤ですので、ゾレアより使いやすいと思いますが、まだまだ高価な薬であることは間違いないことと、あくまで好酸球性喘息に対する治療ともいえます。
今日のまとめ!
✅メポリズマブ(商品名ヌーカラ)は、重篤な好酸球性喘息患者の入院・救急室受診をおよそ半分にする。
* 2017/7/11、9/26一部加筆しました。