Polloni L, et al. Assessment of children's nutritional attitudes before oral food challenges to identify patients at risk of food reintroduction failure: a prospective study. Allergy 2017; 72:731-6.
経口負荷試験で解除になった後、食べ続けることが難しい理由は?
■ GW中ではありますが、また少し更新します。読みたい論文がたくさんありすぎる割に自分の英語力が足りなくて積読になってきています。あ、、この場合、ファイルの溜読ですしょうか。それほどページビューのあるブログでもないので、一生懸命UPする理由がどこまであるか分かりませんけど、定期的にみてくださっている方もいらっしゃるようなので、、、
■ さて、それはさておき、経口食物負荷試験は、実際に食べてもらって症状が出るかどうかを確認する試験です。
■ 陰性であれば解除になるわけですが、解除になっても食べられない子どももいます。その要因を調べた研究結果をご紹介いたします。
E: OFCで陰性であった食物の解除
C: -
O: 6ヶ月後、OFC陰性であった食物を摂取していない児の要因
結局、何を知りたい?
✅食物負荷試験で陰性でも、解除できない子ども達の要因を知ろうとしている。
■ 経口食物負荷試験(OFC)時と6ヵ月後に、食事の単調さと、新しい食品を味わうことに対する関心(Likert scale; 全くない=0,とてもある=5)に関して、母親に対し追加アンケートで実施された。
■ 追加アンケートは、再導入された食物の摂取頻度(まったく=1、まれに=2、時々=3、しばしば=4、とても=5)と栄養的な習慣の変化の程度(全くない1、わずかに=2、適度に=3、とれも=4=、非常に=5)を評価した。
■ 6ヶ月後、OFC陰性であった児の11.1%は、全く、もしくはまれにしかOFC陰性食物を摂取していなかった(まったく=1例(1.2%)、まれに(例えば1ヵ月につき1回未満)=8人(9.9%)、時々=20例(24.7%)、しばしば=52例(64.2%))。
■ 再導入された食物摂取は、OFCの前後の新しい食品を味わうことに対する小児の関心と、OFC後の小児の食習慣の変更度に相関しており、OFCの後の食事の単調さと、負に相関していた。
■ 参加者の特徴や、母の心配には相関は認められなかった。
結局、何がわかった?
✅食物負荷試験の結果が陰性でも、約11%の児が解除された食物をほとんど摂取しておらず、解除後の食事の単調さ(バリエーションの少なさ)に原因があるかもしれないという結果だった。
■ OFC後に食物アレルギー関連の生活の質(QOL)は、改善されることが既に報告されています(Allergy 2014;69:1255–1257.)(J Allergy Clin Immunol 2012;130:1136–1143.)
■ しかし、一方で、およそ25%の患者がOFC陰性にもかかわらず食物除去を続けることが報告されています (Pediatr Allergy Immunol 2006;17:601–605.)(Eur J Pediatr 2015;174:1093–1099.)。
■ これらでは、食物再導入失敗で最も多い理由のうちの1つとして、児の食物拒絶を報告しているそうですが、後ろ向き研究でした。
■ 今回の検討は、前向き研究で栄養的な姿勢を検討したことが重要とされており、経口負荷試験C陰性の後、児の摂食量を再評価し食物の再導入における患者支援が重要であると述べられていました。栄養士による介入が必要と言えるでしょう。
■ なお、除去食レシピに関し、下記のような素晴らしいものもありますが、環境再生保全機構からPDFでダウンロードできるうえWeb版も公開されています。当科では、定期的に冊子で取り寄せて待合に置いていますが、あっという間になくなってしまいます。Web版のほうがいいかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅食物負荷試験陰性でも、その食物を食事に導入できない児がおり、食事のバリエーションの少なさに原因があるかもしれない。