手湿疹は頻度が高いうえアトピー性皮膚炎の人では発症しやすく、生活の質を低下させることが報告されています。
■ 手湿疹(HE)は、コロナ禍以降、とくに外来でよく外来で尋ねられるようになりました。
■ 世界での1年間の有病率は9.1%とされています。
■ そして手湿疹は、アトピー性皮膚炎のあるひとに、より発症しやすくなることがわかっています。
■ 手湿疹は、大人では職業的な曝露が原因となることが多く、場合によってはその職業を変えなければならないケースすらあります。
■ 手湿疹の生活の質が低下することが報告されています 。
■ では、この生活の質の低下は、メタアナリシスではどれくらいと評価できるでしょうか?
Siewertsen M, Näslund-Koch C, Duus Johansen J, Simonsen AB, Nguyen TT, Zachariae C, et al. Psychological burden, anxiety, depression and quality of life in patients with hand eczema: A systematic review and meta-analysis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2024.
17,835人の手湿疹患者と31,541人の対照群を対象にし、重症度、生活の質、不安・うつ病スコアをのシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
背景
■ 手湿疹(HE)は生活の質(QoL)の低下、不安や抑うつと関連があると考えられているが、その関連性の程度は明らかではない。
目的
■ このシステマティックレビューとメタアナリシスの目的は、手湿疹患者における不安、うつ病、生活の質という観点から心理的負担を明らかにすることである。
方法
■ 複数のデータベースを系統的に検索した。
■ 重症度、QoL、うつ病・不安スコアについて、加重平均と標準偏差(SD)を計測した。
■ QoL、うつ病・不安スコアを報告している研究では、患者群と対照群の加重平均を非対応t検定で比較した。
■ Hand Eczema Severity Index(HECSI)とDermatology Life Quality Index(DLQI)を報告している研究では、HECSIとDLQIの相関関係をスピアマンの順位相関係数(rs)を用いて推定した。
結果
■ 計17,835人の手湿疹患者と31,541人の対照群を含む81研究が対象となった。
■ 加重平均DLQIは10.66(SD 8.93)で、QoLに中程度から大きな影響を与え、DLQIとHECSIに強い相関(rs:0.76、95% CI:0.56-0.87)が観察された。
■ EQ-5D-VASの平均値は、対照群と比較してHE患者で有意に低かった(68.03(SD 10.52)vs 80.63(SD 1.17)、p < 0.00001)。
■ HE患者は、対照群よりもHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)不安スコアの平均値が高かった(7.4対5.8、p = 0.0008)が、HADSうつ病スコアの平均値では差がみられなかった(6.5対5.7、p = 0.32)。
■ 不安、うつ病、自殺念慮のリスクを評価した研究は1件のみで、HE患者では対照群と比較してすべての疾患のリスクが増加することが示された。
結論
■ 手湿疹は、生活の質に中程度から重度の影響を及ぼし、疾患の重症度と生活の質への影響には強い相関関係がある。
■ 手湿疹患者は、一般的な生活の質評価で測定すると、他の慢性疾患と同程度の生活の質への影響がある。
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