アトピー性皮膚炎に、手湿疹はどれくらい合併するか?

アトピー性皮膚炎に手湿疹を合併しやすいか?

■ アトピー性皮膚炎のお子さんを診療していると、手湿疹の合併を多くみます。では、アトピー性皮膚炎に手湿疹を併発するリスクはどれくらいでしょう?

■ 成人ですが、メタアナリシスを見つけましたのでご紹介いたします。

 

 

Ruff S, et al. The association between atopic dermatitis and hand eczema: a systematic review and meta‐analysis. British Journal of Dermatology 2018; 178(4): 879-88.

アトピー性皮膚炎と手湿疹の関連を調査した26研究のメタアナリシスを実施した。

背景

アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)手湿疹(hand eczema ;HE)は、しばしば併存する慢性および再発性の炎症性皮膚状態である。

 

目標

■ それらの関連に取り組んでいる研究もあるが、正確な相関は不明である。

 

方法

■ PubMed、Embase、Web of Scienceにおける、ADとHEとの関連について、用語(atopic dermatitis [アトピー性皮膚炎] OR atopic eczema[アトピー性湿疹) AND (hand dermatitis [手皮膚炎] OR hand eczema[手湿疹])を用いて体系的にレビューした。

■ 次いで、メタアナリシスを実施し、アトピー性皮膚炎(AD)と、1時点、1年間、生涯の手湿疹(HE)の有病率との関連を調べた。

 

結果

■ 関連している35研究を特定し、そのうちの26研究がメタアナリシスに含まれた。

アトピー性皮膚炎(AD)は、手湿疹(HE)の有病率の増加と関連していた([1時点; オッズ比 [OR] 2.35; 95%CI 1.47~3.76]、[1年間の有症率 OR 4.29; 95%CI 3.13~5.88]、[生涯有病率 OR 4.06; 95%CI 2.72~6.06])。

■ さらに、ADと職業性HEの正の関連が確認された ([1年間 OR 4.31; 95%CI 2.08~8.91]および[生涯有病率 OR 2.81; 95%CI 2.08~3.79])。

類似の正の関連が、一般集団(職業性以外)でも認められた([1年間 OR 4.19; 95%CI 3.46~5.08] および[生涯有病率 OR 5.69 ;95%CI 4.41~7.36])。

 

結論

■ 研究の限界の重要なのは、アンケート調査を利用した研究が多いこと、前向き研究が不足していること、臨床的フェノタイプの検討の不足などがある。

■ 結論として、システマティックレビューおよびメタアナリシスにより、AD患者にHE有病率が大きく増加していることが示唆された。

■ 臨床医は、HEのハイリスクである職業だけでなく、AD患者を引き続き治療するべきである。

 

結局、何がわかった?

 ✅アトピー性皮膚炎(AD)は、手湿疹(HE)の有病率の増加と関連していた(1時点で 2.35倍、1年間で4.29倍、生涯で 4.06倍)。

 ✅ADと職業性HEにも関連が確認された (1年間 4.31倍、生涯 2.81倍)。

 

 

アトピー性皮膚炎には手湿疹が合併しやすい。

■ 職業性だけでなく、アトピー性皮膚炎自体には手湿疹が合併しやすいといえるでしょう。

■ なお、手湿疹に関しては、ステロイド外用を頻回に塗るより、保湿の回数が重要かもしれないというランダム化比較試験があります。

 

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今日のまとめ!

 ✅アトピー性皮膚炎は手湿疹を2~4倍合併する。

 

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