タピナロフ(ブイタマー)クリームのかゆみ改善効果は、24時間で始まる?

新規アトピー性皮膚炎治療薬、タピナロフ(商品名ブイタマー)。その効果はどれくらいではじまる?

■ アトピー性皮膚炎は、日本でも1割程度にみられる慢性的な皮膚の病気です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、一番つらいのは「かゆみ」です。

■ かゆみは皮膚にある特別な神経が刺激されることで起こります。アトピー性皮膚炎では、IL-4、IL-13、IL-31という炎症を起こす物質がかゆみを引き起こすことが分かっています。また、セマフォリン3Aという神経の成長をコントロールする物質が少なくなると、かゆみが強くなることも知られています。

■ これまでの治療では主にステロイド外用薬が使われてきました。もちろん効果はありますが、副作用の心配や、使える場所や期間に制限があるなどの問題がありました。

タピナロフは、ステロイドではない新しいタイプの塗り薬で、現在日本では12歳以上の小児に使用されています。興味深いことに、日本人の小児を対象とした研究では、0.5%という低い濃度でも1%と同じくらいの効果を示すという意外な結果が報告されており、「濃度が高いほど効果が強い」という直感とは異なる特徴を持っています。

Igarashi, A., et al (2025). A phase 2, randomized, double-blind, vehicle-controlled trial of tapinarof cream in Japanese pediatric patients with atopic dermatitis. Journal of Dermatology, 52(2), 247–255.

■ アリール炭化水素受容体(AhR)という体の中の仕組みに働きかけて、炎症を抑え、皮膚のバリア機能を回復させ、酸化ストレスを減らすことで効果を発揮します。2025年に発表されたアメリカ皮膚科学会のガイドラインでは、タピナロフは成人アトピー性皮膚炎に対して「強い推奨」を獲得し、禁忌や使用面積・期間の厳格な制限がない点も高く評価されています。

Davis, D.M.R., et al (2025). Guidelines of care for the management of atopic dermatitis with topical therapies: 2025 focused update. Journal of the American Academy of Dermatology.

■ 我々の施設でも、タピナロフを処方する事が増えてきましたが、実際に、タピナロフはどれくらいで痒みを改善させるのでしょうか?最近の研究結果を確認してみました。

※2025年8月現在、小児に関しては、タピナロフクリームは12歳以上のアトピー性皮膚炎が適応疾患です。

Simpson EL, Silverberg JI, Bissonnette R, Stein Gold L, Armstrong A, Hebert AA, et al. Rapid Onset of Itch Relief With Tapinarof in Two Phase 3 Trials in Atopic Dermatitis. J Drugs Dermatol 2025; 24:600-7.

813名の中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者(2歳以上)を対象に、タピナロフクリーム1%または偽薬を1日1回8週間塗布する無作為化比較試験を実施した。

背景

■ ADORING 1およびADORING 2第3相試験(第3段階の大規模試験)において、タピナロフクリーム1%1日1回塗布は、2歳以上のアトピー性皮膚炎患者(成人および小児)に対して明らかな治療効果を示し、忍容性も良好であった。
■ 本研究では、これらの試験における痒みの改善効果がいつから現れるかを調査した。

方法

■ 813名の患者をタピナロフクリーム1%またはビヒクルQDに8週間無作為化割り付けした。
痒み軽減効果は、Peak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS)スコア(毎日および第1、2、4、8週の来院時)により評価した。

結果

■ ADORING 1およびADORING 2におけるベースラインのPP-NRSスコア平均値は、それぞれ6.7および6.8であった。
毎日のPP-NRSスコア平均値のより大きな改善は、初回塗布後1日目(24時間後)という早期から、タピナロフ群で偽薬群と比較して認められた(-1.2 vs -1.0;複数の試験結果を統合した解析)。
2日目には統計学的に意味のある明確な改善が認められた(-1.6 vs -1.1、P=0.0115)。
■ 毎日の痒み改善は第8週まで続いた。
タピナロフ群で偽薬群と比較してPP-NRS週間スコア平均値の明らかに大きな改善が、ADORING 1では第1週に-2.0 vs -1.2(P<0.0001)、ADORING 2では-2.0 vs -1.3(P=0.0010)認められ、第8週まで効果が持続した(-4.1 vs -2.6および-4.1 vs -2.4、いずれもP<0.0001)。

結論

タピナロフはアトピー性皮膚炎患者において速やかで臨床的に意味のある痒み改善効果を示し、初回塗布から24時間後に改善が始まり、2日目には統計学的に明確な改善が認められた。

 

 

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