http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26975590
今回は集中治療に関する報告。
一部で話題になっていましたので、もうご存知のかたも多いかもしれません。
P: ICUに入室した新生児~17歳までの重症患児 1440名
E: 腸管栄養+24時間以内の経静脈栄養開始群(早期静脈栄養群) 723名
C: 腸管栄養+7日後に経静脈栄養開始群(待機静脈栄養群) 717名
O: 新規感染発症率、ICU在室期間
結果
新規感染発生率は,早期静脈栄養群で 18.5%、待機静脈栄養群では 10.7%だった(補正オッズ比 0.48,95%信頼区間 0.35-0.66)。
ICU 在室期間の平均値は、早期静脈栄養群で 9.2±0.8 日、待機静脈栄養群では 6.5±0.4 日だった。
待機静脈栄養群では,ICU から早期に生存退室率がどの時点でも高かった(補正ハザード比 1.23,95%信頼区間 1.11-1.37)。
図は論文からの引用
待期静脈栄養群は,早期静脈栄養群と比較して人工呼吸器装着期間が短く(P=0.001),腎代替療法実施率が低く(P=0.04)、入院期間の短かった(P=0.001)。
死亡率は両群で同程度だった。
コメント
規模といい、研究デザインといい、さすがNEJMというべき論文。すでに成人に関しては先行文献があり(NEJM2011)、その小児版になる。
結果として、重症患児に栄養を与えすぎると、かえって転帰を悪化させることになりかねないと言えるだろう。
ただし、論評では、早期静脈栄養群の55%が4日に達するまでに退院しており、24時間以内に開始した群になっていないことなどが指摘されているため、一応注意は要すると思われる。
評価:
--- 金原出版 ¥ 7,560 (2014-07-19) コメント:この版から大きくなりました。もともと情報量が多めの教科書でしたが、さらに情報量が多くなりました。NICUには携わっていない筆者としては辞書的に使わざるを得ないですが、内容は良いです。 |