スギ花粉症のリスクファクターは?

Nakamura S, et al. Analysis of factors associated with cedar pollen sensitization and development of pollinosis in a young Japanese adult population. Allergol Int 2018.[Epub ahead of print]

スギ花粉症は増えています。

■ スギ花粉症は、日本の国民病ともいえましょう。

■ 最近、舌下免疫療法が小児でも保険適応が拡大され、治療への光明がみえるようになりました。

舌下免疫療法

■ そんなスギ花粉症のリスク因子を評価した横断研究が発表されたのでご紹介いたします。

 

若年成人ボランティア382人に対し、スギ花粉症のリスク因子と防御因子を評価した。

背景

■ スギ花粉に対するアレルギー感作や発症に関与する遺伝的および環境的要因が提唱されている。

■ これらの要因への影響は、解決のカギとなる情報をスギ花粉感作とアレルギー発症の予防に提供する。

■ そして、その影響に関し、我々は横断的調査法で調査した。

 

方法

若年成人ボランティア382人は、自身で報告した主観的症状に基づく花粉症、医師に診断された花粉症、背景因子に関する自己記入式アンケートを記入した。

■ また、スギ、ヒノキ、ダニに特異的IgE抗体価を測定した。

■ 主観的症状、医師の診断、3種類の特異的IgE抗原に関連する因子を、単変量および多変量解析の両方を用いて決定した。

 

結果

スギ、ヒノキ、ダニに対する感作は、クラス1以上の特異的IgE抗体価として定義され、参加者のそれぞれ78.8%、64.4%、56.0%に認められた。

スギ花粉症の有病率は、主観的症状に基づくと41.2%、医師の診断に基づくと22.2%だった。

スギ花粉に対する感作増加に関連する要因は、ダニ感作、アレルギー性鼻炎の合併、スギ花粉症の家族歴だった。

スギ花粉感作のリスクを低減する要因は、ネコ飼育、風邪罹患の回数、睡眠時間だった。

論文から引用。(A)ダニ、スギ花粉、ヒノキに対する感作と関連する要因。(B)スギ花粉症の診断に関連する要因( 自己診断/医師の診断)。

■ 主観的な花粉症症状および医師診断された花粉症のリスクを増加させる要因は、アレルギー性鼻炎の合併とスギ花粉症の家族歴であった。

 

結論

■ この検討に参加した群でのスギ花粉に対する感作は非常に高率だった。

■ 一般的な因子と稀な因子の両方が、花粉に対する感作および花粉症の発症と関連していた。

■ 稀な要因が、スギおよびヒノキ抗原に対する感作と関連していた。

 

結局、何がわかった?

 ✅若年成人382人のうち、スギ、ヒノキ、ダニに対する感作(特異的IgE抗体価クラス1以上)は、それぞれ78.8%、64.4%、56.0%だった。

 ✅スギ花粉感作を増加させる要因は、ダニ感作、アレルギー性鼻炎の合併、スギ花粉症の家族歴だった。

 ✅スギ花粉感作リスクを低減させる要因は、ネコ飼育、風邪罹患の回数、睡眠時間だった。

 

 

スギ花粉症のリスク因子と防御因子。

■ スギ感作は非常に多いことはわかっては良くいわれるものの、極めて高いことがわかりました。まだ今後、スギ花粉症は増えてくることも予想されています。

■ ここで不思議に思われる可能性があるのがネコの飼育が、スギ花粉症のリスク低下に影響していることです。この効果は、ネコではみられるもののイヌでは効果はありませんでした。

■ ネコの飼育は生活環境中に屋内にエンドトキシンが増えることが示されており、それが防御に有効だったとされていますが、まだ将来の研究が必要と考察されています。

 

今日のまとめ!

 ✅若年成人に対するスギ花粉に対する感作は極めて8割近くと極めて高く、ダニ感作、アレルギー性鼻炎の合併、スギ花粉症の家族歴はリスク因子だった。

 ✅ネコ飼育、風邪罹患の回数、睡眠時間はリスク低減に働いたが、詳細はさらなる研究を要する。

 

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