以下、論文紹介と解説です。

Bruusgaard-Mouritsen MA, Johansen JD, Garvey LH. Clinical manifestations and impact on daily life of allergy to polyethylene glycol (PEG) in ten patients. Clinical & Experimental Allergy; n/a.

ポリエチレングリコール(PEG)に対するアレルギーと診断された10人に対し、アンケート調査を行った。

背景

■ ポリエチレングリコール(Polyethylene glycols; PEG)は、医薬品、化粧品、家庭用品の賦形剤として広く使用されている。

■ そして、アナフィラキシーを含むPEGに対する即時型アレルギーはまれである。

■ 最近、mRNAベースのCOVID-19ワクチンが導入されたことで、ワクチンに対するアレルギー反応の原因となりうるものとしてPEGが注目されるようになった

■ 消費者、製造業者、医師にPEGのアレルゲン性に対する認識が低いため、PEGに対するアレルギーの過少診断や報告が行われていないなど、患者は重篤な反応を繰り返すリスクにある。

 

目的

■ 2010年から2019年までにPEGアレルギーと診断された患者の臨床症状、診断までの期間、日常生活への影響を調査した。

 

方法

■ PEGに対するアレルギーと診断された10人を対象とした。

管理人注
年齢中央値は35歳(範囲18~64歳)でした。
2人は花粉によるアレルギー性鼻結膜炎、1人の患者は猫に対するアレルギーだったけれども、その他は他のアレルギー疾患はなかったそうです。

■ 詳細な臨床病歴を取得し、診断時にアレルギー検査を実施した。

■ 全患者に連絡を取り、PEGアレルギーの原因と日常生活への影響に関するアンケートを、レトロスペクティブに記入してもらい、診断前と診断後に0-10のlikert尺度で点数化した。

 

結果

■ 8人がアドレナリンを必要とするアナフィラキシー反応を少なくとも1回経験していた。

アナフィラキシーは主に抗生物質/鎮痛剤の錠剤、デポステロイド、制酸剤、下剤によって引き起こされた

■ 7人が診断前に繰り返しの反応を報告した(中央値3; 範囲2~6)。

管理人注
化粧品や衛生製品(カミソリジェル、歯磨き粉、デンタルフロス)も原因の可能性があると報告されていました。

最初の反応から診断までの期間の中央値は20ヵ月(範囲2~120ヶ月)だった。

■ 診断後に重篤なアレルギー反応を経験した患者はいなかった。

■ 診断前の日常生活への影響のLikertスコアの中央値は7であったのに対し、診断後は4であった。

 

結論と臨床的意義

■ PEG アレルギーの臨床症状はしばしば強いものである。

■ 患者の生命に重大な影響を及ぼすアナフィラキシー反応の繰り返しを防ぐためには、臨床症状と共通の原因に関する認識の向上、明確な製品表示、標準化された命名法が必要である。

 

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ポリエチレングリコールは、本来安全性が高い物質。ただし、今後は報告が増えてくる可能性がある。

■ このような報告をみると、PEGが危ないものと思いがちですが、そういう意味ではありません。

■ さまざまな製品に使用されていることからも、本来は安全な成分です。

■ ただし、今後、PEGに関しては注目度があがり、報告が増えてくる可能性があります。

■ そして、身の回りにある製品に含まれることがあるということです。

■ 今まで、PEGによるアレルギーは経験がありませんが、ノーマークだった可能性はあり、もうすこし勉強しておこなければならない成分のようですが、病歴上、疑いの可能性が高くなければ、新型コロナワクチンの前に検査などはかえって混乱する可能性が高いと思われます。

■ このような話題があると、『全員に事前のアレルギー検査を』という方がでてくるのですが、検査は『偽陽性』『偽陰性』の問題をはらみ、かえって混乱をもたらす可能性があります。一般的には、新型コロナのワクチンの1回目で症状があった方に配慮するという形になってくるのではと思います。その際の病歴聴取には有効な知識でしょう。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ ポリエチレングリコールによるアレルギーは、稀な者ではあるものの、多くの化粧品や医薬品に含まれており、注意が必要となるかもしれない。

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