非典型的な手足口病には、どのような症状がある?:システマティックレビュー

非典型的な症状となる、コクサッキーA6型の手足口病が流行中です。

■ 手足口病 (HFMD) は、子どもに多い感染症です​​。
■ コロナ禍では、流行が抑制されていましたが、今年は大きな流行をみせています。

■ 例えば、東京における定点医療機関当たり患者報告数は、おおきく高まっています。

■ 手足口病 はピコルナウイルス科に属するRNAウイルスであるエンテロウイルス (EVs) によって引き起こされます​​。
■ エンテロウイルスは、そもそも 多くのウイルスを含むおおきなグループで、風邪や胃腸炎、手足口病などの原因となります。
■ すなわち、手足口病はさまざまなウイルスが原因となっており、今まで、コクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルス71型が主となっていましたが、2008年にコクサッキーウイルスA6 (CVA6) が主なウイルスの型になってきています

 

■ そして、いままでの手足口病と異なる皮膚症状が報告されるようになりました。

■ すなわち手足口病は、手、足、口に水疱ができることで知られていますが、コクサッキーウイルスA6による手足口病は、手のひらや足の裏以外にも発疹が出たり、形が様々であるため、他の病気と間違えられることがあります。

■ コクサッキーウイルスA6による手足口病は、通常は軽症または無症状であるため、あまり注目されていませんでした。

■ しかし、今シーズンもコクサッキーウイルスA6が流行の中心となっており、非典型的な手足口病(CA6による物が多い)を意識して診療する必要性があります。
■ そして、非典型的な手足口病のシステマティックレビューがありましたので共有いたします。

Starkey SY, Mar K, Khaslavsky S, Seeburruth D, Khalid B, Virmani D, et al. Atypical cutaneous findings of hand-foot-mouth disease in children: A systematic review. Pediatric Dermatology 2024; 41:23-7.

非典型的な皮膚症状のある18歳以下の手足口病患者1359人を対象に、システマティックレビューを実施した。

背景

■ 手足口病(Hand-foot-mouth disease, HFMD)は小児において一般的な感染症である。
■ 2008年に初めて報告されたコクサッキーウイルスA6(CVA6)に関連する非典型的な皮膚症状は、世界中で報告が増加している。
■ 非典型的なHFMDの皮疹は、手掌や足底以外の部位に現れることが多く、異常で多形性の形態を示す傾向がある。

目的

■ 本研究は、非典型的な皮膚症状を伴う小児HFMDの臨床的特徴と結果を系統的にレビューすることを目的とした。

方法

■ 本研究では、非典型的な皮膚症状を伴う小児HFMDの臨床的特徴と結果に関する系統的レビューを実施した。

結果

■ 85研究が含まれ、1359例が対象となった。

■ 平均年齢は2.4歳で、61%が男児であった。

■ 最も報告された皮膚形態は、水疱(53%)、丘疹(49%)、水疱性発疹(36%)だった。
■ その他の形態としては、ヘルペス様湿疹(19%)、紫斑性/点状出血性(7%)、Gianotti Crosti様(4%)が含まれた。
■ 非典型的な部位としては、腕や脚(47%)、顔(45%)、胴体(27%)が一般的だった。
■ 63%の症例でCVA6が確認された。

■ 症状は平均10日で軽快した。
■ 全体の16%の症例が治療を受け、最も一般的にはアシクロビル、静脈内抗生物質、ステロイド外用薬が使用された。
■ 最も一般的な合併症は爪の変化(21%)と脱落(4%)だった。
■ それぞれ症状発現から平均3週および2週後に発生した。

結論

他の疾患に類似した異常な形態のため、非典型的な皮膚症状を伴うHFMDは誤診されることがあり、不適切な検査や入院、治療が行われる可能性がある。
■ 非典型的なHFMDの症例についての認識を高めることで、患者ケアの改善や感染対策に関する指導が期待される。

 

 

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