Craig FE, et al., Bleach baths to reduce severity of atopic dermatitis colonized by Staphylococcus. Arch Dermatol 2010; 146:541-3.
塩素浴のアトピー性皮膚炎に対し効果があるかどうかを述べたレビュー。
塩素浴はアトピー性皮膚炎の治療に効果的、、なのか? 第1回(全3回)
■ 4/10のブログにUPした論文の疑問点などを示した論文。
■ あくまでレビューですので、PECOはなし。
Sumally
■ Bleach(塩素)の匂いは盲検化を失わせないか(著者に問い合わせて問題はないという返信があったとのこと)。ランダム化の方法が述べられていない。
■ Bleachの匂いのため、研究参加者を盲検化することが困難だったはずだが、盲検化したと述べられている。
■ 研究のドロップアウト率が高い。
■ 3か月間のフォローは、治療群で15名中9名だった(著者は、症状が改善したため、同意を取り下げた例があったと述べたそうだ)。
■ ITT解析をしたと述べているが、論文内では、31名の参加者のうち、3か月で25名、1か月で22名が評価されているように記載があり、ITT解析ではないのではないかと指摘。
■ EASIスコアがベースラインで治療群(26.9)とプラセボ群(17.7)で異なる。
■ 抗炎症外用薬や保湿剤に関しての情報がない。
■ 不十分な盲検化のために、介入群ではBleachで乾燥したと考えて保湿剤をより多く使用したかもしれない。
■ 試験レジストリプロトコルでは、セカンダリアウトカムが搔痒感のVASだった。しかし、論文に全く記載がない。
■ Bleach群の9名中1名が搔痒と炎症を経験した。論文中ではBleachは安全と謳われているが、これがBleachに起因するものかもしれない。
■ 著者は、ムピロシンの耐性は進行しなかったと述べたが、他の菌の耐性化は検討されていない。
■ より有用な研究計画は4群によるクロスオーバーかもしれない。
コメント
■ 確かに、ITT解析といいながら例数が少なくなるのは不可解です。
■ また、セカンダリアウトカムに触れられていないなども(必ず触れなければならないわけではないが)、恣意的な印象も受けます。
■ とはいえ、同じJournal内で論文が論評されるのはよく見ますが、別のJournalでここまで批判的吟味をするのはあまり見かけません。もちろん、医学論文をそれぞれ批判的に吟味することは悪いことではありません。
■ 先の論文が間違っていると言いたいわけではないですが、クロスオーバー試験結果を見てみたいと思っていると、最近報告されていました。